塗 ページ11
pe
「ぅわ"ーーっっ！！！
何してんの、危ないよ！？！？」
『……五月蝿いよ、ぺいんと。』
唐突に現れたと思ったら。
今、一番会いたくなかった。
「やっ、やめな！
早まらないで！！？」
……馬鹿だなぁ。
それもこれも全部、
『(……あんたが振り向いてくんないからじゃん…。)』
じわ、と視界が滲む。
この春、ぺいんとには恋人ができた。
ずっと彼が好きだった私は居場所を無くして。
「ね、ねぇ、何でかだけでも教えてよ…。
俺とお前の仲だろ…？」
気遣うように眉を下げた君が愛おしくて仕方ない。
『……私ね。』
「…うん。」
"好きな人が、いるんだ。"
ぺいんとが、目を見開いた。
「……失恋？」
いつも五月蝿いくせに、何で今だけそんな優しいの。
苦しくなるだけだよ。
「そいつの為だけに死 ぬの！！？
そんなん俺が許さないよ！？」
"その相手連れてきてやる！！"なんて叫ぶぺいんとに、小さく言った。
『………その人はね。』
"馬鹿で、五月蝿いし、明るいし、実は周りを見てるし、友達が多いし、一緒にいて楽しいし。"
『………どうしようもなく、好きだったんだ。』
ぱたぱたと涙が下に吸い込まれていく。
黙っていたぺいんとが小さく言った。
「……誰の事か、聞いても良い…？」
なんだよ、それ。
思わず笑ってしまった。
『…ぺいんとって、ほんっとに馬鹿。』
「えっ、ヒドくない！！？
俺の何処がばk＿＿＿」
『……そういう所が好きだった。』
ぺいんとが、え、と声を漏らした。
『……ずっと、好きだったよ。』
さようなら。
その言葉と同時に、私は宙に身を投げた。
けど、何故だか暖かい。
『？
なん＿＿……、』
状況を理解して絶句する。
『なんで…っ！
ぺいんと！』
ぺいんとが、一緒に落ちていた。
慌ててもがくが、離してくれない。
なんで、と零せば、ぺいんとが叫んだ。
「参ったなぁ！
俺、Aの方が好きみたいだわ！」
泣きながら、へらりと笑ったぺいんと。
抱きしめあい、唇を重ねて、私たちは地面に堕ちていった。
"来世はきっと。"
.
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←橙
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねぼす。 | 作成日時：2021年10月24日 20時
