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「もうりせんせー…もうのめませんよぉ…」
背負って車を停めているところまで歩いていると、寝ぼけているのか寝言を言い出した。
いつもはしっかりしているからこそ、彼女の素の姿に笑みが溢れる。
「っう…ばか…」
今度は急にぐずり出し、首に回されている腕の力が強くなった。
「あむろさんの、ばかっ…おばか…っ、」
「…！」
不意に自分の名前が呼ばれ、鼓動が速くなる。
「……あむろ、さん…」
直接見たわけではない。それでもきっと、彼女が後ろで泣いているであろうことが分かった。
「……A」
本当は起きてるんじゃないかと思い名前を呼んでみるが、反応はない。
車に着く頃には寝言も言わなくなり、深く眠りについていた。
・
車で30分ほど走り、Aさんの家に着いた。
扉の前まで再び背負って来たが、さすがに勝手にバッグの中を漁り鍵を探すのは気が引ける。
「Aさん、鍵はどこにありますか」
「……んん…か、ぎ？…ぽけ、と…」
少し大きめに声をかけると、辛うじて反応はあった。
ただ…。
「…どこのポケット？」
「…かばん、の…なかの…うち、ぽけっと…」
「…ふ…了解」
…まるで子どもと話をしているみたいだな。
・
起こさないようにそっと扉を開け、部屋に入った。
部屋から僅かに彼女の匂いがするのは意識しないようにし、暗闇で何も見えないため、キッチンだけ明かりをつける。
それでも、なるべく部屋の中はじっと見ないようなんとかベッドを見つけ、ゆっくりと彼女を下ろした。
「…あつい…」
「……」
まだ色々と耐えられるうちに早く帰ろうとしたが、背中越しのその一言が無視できず、キッチンに向かう。
冷蔵庫から水を取り出し、乾かしてあったコップに注ぎ、彼女の元へと持っていく。
「…飲めそうですか？」
「う、ん…」
体を起こし、口元にコップを持っていくと、ゆっくり飲み始めた。上手く飲めず口元から漏れた水が首を伝ったため、それを指で拭う。
キッチンからの僅かな灯りに照らされ、未だ少し赤くなっている首元が目に入る。無意識に苛立ちながら指で触れると、彼女は運悪くそのタイミングで微かに目を開けた。
「…あむろ、さん…」
「……」
へらっと笑い自分の名前を呼んでくる姿に、僅かに繋ぎ止めておいた理性が飛びそうになった。
またすぐ目を閉じた彼女に、寝ているからと都合の良い言い訳をし、そっと唇を寄せた。
38. ページ39
「もうりせんせー…もうのめませんよぉ…」
背負って車を停めているところまで歩いていると、寝ぼけているのか寝言を言い出した。
いつもはしっかりしているからこそ、彼女の素の姿に笑みが溢れる。
「っう…ばか…」
今度は急にぐずり出し、首に回されている腕の力が強くなった。
「あむろさんの、ばかっ…おばか…っ、」
「…！」
不意に自分の名前が呼ばれ、鼓動が速くなる。
「……あむろ、さん…」
直接見たわけではない。それでもきっと、彼女が後ろで泣いているであろうことが分かった。
「……A」
本当は起きてるんじゃないかと思い名前を呼んでみるが、反応はない。
車に着く頃には寝言も言わなくなり、深く眠りについていた。
・
車で30分ほど走り、Aさんの家に着いた。
扉の前まで再び背負って来たが、さすがに勝手にバッグの中を漁り鍵を探すのは気が引ける。
「Aさん、鍵はどこにありますか」
「……んん…か、ぎ？…ぽけ、と…」
少し大きめに声をかけると、辛うじて反応はあった。
ただ…。
「…どこのポケット？」
「…かばん、の…なかの…うち、ぽけっと…」
「…ふ…了解」
…まるで子どもと話をしているみたいだな。
・
起こさないようにそっと扉を開け、部屋に入った。
部屋から僅かに彼女の匂いがするのは意識しないようにし、暗闇で何も見えないため、キッチンだけ明かりをつける。
それでも、なるべく部屋の中はじっと見ないようなんとかベッドを見つけ、ゆっくりと彼女を下ろした。
「…あつい…」
「……」
まだ色々と耐えられるうちに早く帰ろうとしたが、背中越しのその一言が無視できず、キッチンに向かう。
冷蔵庫から水を取り出し、乾かしてあったコップに注ぎ、彼女の元へと持っていく。
「…飲めそうですか？」
「う、ん…」
体を起こし、口元にコップを持っていくと、ゆっくり飲み始めた。上手く飲めず口元から漏れた水が首を伝ったため、それを指で拭う。
キッチンからの僅かな灯りに照らされ、未だ少し赤くなっている首元が目に入る。無意識に苛立ちながら指で触れると、彼女は運悪くそのタイミングで微かに目を開けた。
「…あむろ、さん…」
「……」
へらっと笑い自分の名前を呼んでくる姿に、僅かに繋ぎ止めておいた理性が飛びそうになった。
またすぐ目を閉じた彼女に、寝ているからと都合の良い言い訳をし、そっと唇を寄せた。
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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます！すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます！まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします！いかがでしょうか？ (8月25日 18時) (
レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ２個目を読みたいンですけど無理でしょうか？パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚葉 | 作成日時：2023年6月18日 14時
