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駐車場に車が停めてあるからと、駐車場まで少し歩き、あれよあれよと安室さんの車の助手席に座ることになった。

普段他の女の人にもこんな風に優しくしてるのかな…
いや、そもそもこれは安室さんにとっての普通であって、優しくしてるつもりは毛頭ない、とか…?!

恐るべし、安室さん…。


「小難しい顔してますね」

「えぁ、いやいや!そんなことは…」


考え込んでるうちに、運転席に安室さんが乗ってきて、エンジンをかけた。


「3時間も待っててくださったんですか…?
それに、飛田さんは…?」

「大した時間じゃありませんよ、3時間くらい」


ふっと笑い、ゆっくりと車は発進した。


「……あと、そんなに飛田が気になりますか?」

「えっ、いや…!お一人で帰られたのかなって思っただけですよ…!」

「飛田は飲んでたので、ちゃんとタクシーで帰しましたし大丈夫ですよ」

「そうなんですね…!それなら安心しました」


安室さんは笑って頷くと、まっすぐに前を向いた。

運転中に邪魔をしちゃいけないと思い、黙って外の景色に目を向けるけど…緊張でまったく心穏やかにいられない。


「あの居酒屋では、ずっと働いてるんですか?」


だけど、信号待ちの時に、安室さんの方から話しかけてくれた。


「いえ、今は店長に頼まれた時にたまにヘルプに入るくらいで…昔、高校2年生の時から2年間働いてたんです」

「へえ、高校2年生の時から…。

今は、研究室の教授の知り合いの元で、事務のバイトをしてると言ってましたもんね」

「はい。でも…よく覚えてますね!」

「もちろん、Aさんから聞いたことですから」

「……」


う…きっと安室さんは、無自覚にモテてしまうタイプだ。

大学の仲の良い友達も言っていた、女は話をきちんと覚えててくれる男に惚れると。今なら、その話が少しだけ分かる気がした。


「Aさん、寝不足だと思うので眠かったら寝てくださいね」


…おまけに、こんなに気遣ってくれて。


「ありがとうございます。でも、お昼に目が覚めちゃったので…」

「はは、飛田の方がふらふらだったらしいですね」

「ふ…そうなんです。だけど飛田さん、安室さんのことを尊敬してるって…。お二人とも、仲良しなんですね」

「……な、仲良し…」


面食らったような安室さんが面白くて、思わず笑うと、安室さんも笑ってくれた。

優しく笑うその顔を見ると、車の乗り心地の良さも相まって、急に睡魔が襲ってきた。

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柚葉(プロフ) - かえでさん» かえで様。コメントありがとうございます!すみません、今2と3の体裁を整えている関係で一時的にパスワード保護してます!まだ修正が済んでいませんが、読んでる途中に若干体裁が変わるのが気にならなければ、メッセージでパスワードをお送りします!いかがでしょうか? (8月25日 18時) (レス) id: 00a9d1680b (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - シリーズ2個目を読みたいンですけど無理でしょうか?パスワードがかかってるようで (8月25日 17時) (レス) id: bf6f1db929 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年6月18日 14時

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