【魔法少女は星に詠う】水鏡に映るは哀か、それとも愛か。【企画派生作品】 (ページ16)

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村は、リゲルたちが駆けつけたときには、酷い有様だった。

避難して来た村人たちの助けを聞いて、学校にいた数人の魔法少女を引き連れてきた村に、

一人、魔法少女が十数対のバケモノと相対している姿が見受けられた。

ミアプラキドスだ。

リゲルも知っているその姿は、まるで酷く怯えたように、頭を抱えて、首を振っていた。

違う、違う、とうわ言のように呟きながら首を振る彼女の姿からは、

普段の大人しい、優しげな雰囲気は感じられなかった。

とうとう力尽きたようにへたり込んだ彼女に、駆け寄ろうと、リゲルは走り出した。

それに触発されたように、バケモノも、魔法少女らも一斉に走り出す。

「ミアっ！！」

群がるバケモノを自らの魔法で凍らせ、必死に彼女に駆け寄った。

「ミア、ミア！返事してってば、ねぇ、ミア！」

リゲルが肩を揺すりながらそう呼びかけると、彼女はどろりと呆けた瞳でリゲルを見た。

「よかった、私のこと分かる？」

リゲルが顔を覗き込みながらそういうと、ミアプラキドスはぼうっとした声で、

リゲルさん？と口にした。

安堵して、震えている彼女に頭に手を乗せる。そうすると彼女はハッとしたように、

自らの手を見下ろした。そこには、ガラス製の、相当な値打ち物であろう水鉄砲が握られている。

「ミア、どうしたの？どこか怪我を……。」

「……と……し。」

リゲルは心配になって彼女の顔を覗き込むと、彼女は何かを呟いた。

すると、今度は怯えたようにリゲルを突き飛ばして、頭を抱えて泣き叫んだ。

「あ、あ、あああああああああ！！」

酷く悲しそうな叫び声に、リゲルは驚いて、彼女に駆け寄って、震えている肩を抱き締めた。

「ミア、ミア、大丈夫、大丈夫だから、ミア！」

ふつり、と叫び声が途絶える。

それと同時に、彼女の身体から力が抜けて、がっくりとうなだれる。

何が起こったのか、そこにいたものには、分からなかった。