教科書通信＊Ren.Nagase＊

電話 ページ22

．



ーーー泊まればええやん。


『嫌だよ』


ーーーなんでや！


『なんでも』




お風呂上がりのピノを堪能しつつ耳元でギャーギャーと騒ぐ大吾の相手をする。うるさいったらありゃしない。



ーーーまだ廉と喧嘩しとるん？


『絶賛冷戦中〜』


ーーー笑い事ちゃうわアホ


『はは、そうかも』





お風呂上がりにまた携帯を見ればその通知に驚愕した。
永瀬永瀬西畑西畑永瀬西畑永瀬────

永瀬とはやっぱりなんか電話する気にはなれなかったので大吾に掛け直せば秒で出てくれた。いや暇か。





ーーーとにかく、俺が3人で過ごしたいねん。


『えーー』


ーーーお願い！お願い！3人でわちゃわちゃしたいねん


『…わかった。泊まらんけど遊び行くわ』


ーーー…よっしゃ！え！まじ！え！


『そういうことやから、いい？』


ーーーおう！楽しみにしとる！


『うん、私も。じゃ』




大吾の頼み事はなんだかんだいつも聞いてしまう。
彼には随分甘いなと自分でも思う。

大吾との電話を終えてぼーっと画面を見ているともう1人の幼馴染からまた電話が来た。


出るか、出ないか。

悶々していると通話が切れたので少しほっとする。…が、直後彼からメッセージが入った。


恐る恐るまだ2言しか話していない画面を既読がつかないように見れば"さっき大吾と電話したの知っとんで"という文字が。

慌てすぎて思わず開いてしまい彼にも読んだ形跡がついたのだろう、もう一度電話が来た。


あーもう！とヤケクソになり思いっきり画面を叩いて携帯を耳に当てた。

思いっきりボタンを押したところで優しく押したのと特に変わりはないが目一杯のイラつきが届けばいいな、なんて思った。




ーーーやっと出た


『お風呂です』


ーーー嘘つけ、大吾と電話しとったくせに


『お風呂出てからしただけだよ』


ーーーあ、Aも泊まるんやろ？


『泊まらないって。大吾から聞いてないの？』


ーーーは？あいつからAも泊まるって！って来たよ


『うわ、嘘つかれた。泊まりません。』


ーーー泊まればええやん


『歳。高校生。』


ーーー関係ないやろ


『ありますって』


ーーーまあ、楽しみにしとるわ！お泊まり


『だから泊まらない』


ーーーははっ、じゃーな


『あ、それだけ？』




てっきりなんか用があるのかと思った。意外にあっさりしていたので思わず口走ってしまった。
その後、永瀬の爆弾発言に数日頭を悩まされた。


ーーー
西畑くん迷子ですすみません。

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