ベストフレンド ページ20
楽しそうに話す2人にばいばい、と手を振って教室に向かう。と、後ろから思いっきり首を絞められた。この匂いはアイツだ。きっと文句を言いに来たのだろう。
『奢りありがとね、優太』
「金返せ!利息付きだかんな?」
『へー、利息って知ってるんだね』
教室に入りおはよう、と声をかけてくれるクラスメイトにおはよーと返しつつ席に向かった。
生憎優太は割と近くに座っているのでそれまでずっと後ろでグチグチと文句を言っていた。
『あのねぇ優太』
「お?返す気になった?」
『ケチケチしてると彼女に嫌われるよ?モテないよ?』
「いやいやいや、俺案外モテてんぞ?」
『…まじ?』
「まじ」
『ガチ?』
「ガチ」
『エイプリルフール?』
「お前も大概俺の事舐めてるっしょ」
へへ、と笑って返せばへへ、と顔をクシャッとして笑った。まあ、モテても不思議ではないだろう。
どんな人でも分け隔てなく仲良くできるし、何より彼はすごく優しい。
困ってる人を見かけたらすぐに駆けつけて手を差し伸べてあげるような、そんな人。
「廉もモテんぞーー?」
『え、なんで私に言うの』
「わかんね、忠告?」
『なんの忠告ですか』
「んー、わかんね!」
『なんもわかんないじゃん。』
「でもA、ほんとに受け身じゃダメだよ」
『…わかってる』
とにかくさ、と時計に目をやった優太に続いて時計を見ればそろそろHRが始まる時間だった。
私の席から離れる際に優太は意地悪そうに笑った。
「とにかく頑張れってことよ、ベストフレンドちゃん!!」
『意味わかんないよベストフレンドくん!!』
これに特に意味は無い。
なんとなく、投げやりになった時に語尾につけるだけだ。
優太がそうしているかはわからないけど
私は普段伝えられない思いとか、感謝とかを全部この言葉に乗せて彼に投げつけている。
面と向かって言うの、恥ずかしいじゃん。
感謝とか、謝罪とか。
─────謝罪、とか。
「でもA、ほんとに受け身じゃダメだよ」
わかってる。
わかってるよ。
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さくさくぱんだ(プロフ) - 完結おめでとうございます!読み度涙が止まりませんでした…。続編是非読みたいです!!!! (2020年1月3日 5時) (レス) id: e39a486ce6 (このIDを非表示/違反報告)
ふみか(プロフ) - 完結おめでとうございます。続編本当に待ってます!!!!!!一生のお願い!笑笑 (2019年12月15日 23時) (レス) id: cdb1cf462c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - 完結おめでとうございます!afterstoryぜひ読みたいです☆ (2019年12月15日 15時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - 思わず一気読みしてしまったんですが、泣いてしまいました(;o;)是非after story読みたいです! (2019年12月15日 13時) (レス) id: dfd709edb9 (このIDを非表示/違反報告)
ちな - 完結おめでとうございます!最後キュンキュンもしたし、涙も出てきて………時間があるのなら、アフターストーリー読みたいです!楽しみにしています!! (2019年12月15日 9時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚木 | 作成日時:2019年10月16日 22時