25 〃 ページ26
『ごめん、今日はホントに帰らして…!』
鞄を適当に掴み、すたすた歩いて教室から出る。
出るときに前方が見えないせいで扉に頭をぶってしまって痛かったけど、構わない。
後ろから岩泉が追いかけてくる気配がするからさらに速度を上げたら、
『っあ』
目の前がぼやけてるからよく分からなかった。
階段が、思ったよりも近くにあって、
急に床がなくなったように足が宙に投げ出されて。
_おちる。
受け身とらなきゃ。
…なんてぼーっとした頭で考えてたら、
後ろからガバッと、腰に腕がまわされた。
岩泉「…あぶね」
いつの間にか追い付いて来たらしい、岩泉の声がする。
落ちかけていた俺の体を支えてくれた。
ありがと、とお礼をいう前に、物凄い怖い声で「なあ…」と言われた。
わ、怒ってる。
怒声が飛んでくると思って、身構える。
岩泉「お前もしかして、見えてないのか…!?」
……最悪、なんでこんなときだけ鋭いの。
瞬間、なんかもうどうでも良くなって、
体が勝手になにかを諦めて、
塞き止められていた涙が一気にぼろぼろ溢れてきた。
見えない目が、さらにぼやける。
岩泉がひどく慌てた様子で俺の背中をさするから、もうダメだ。
やめてよそれ、追いうち。
階段でこのままだとアレだと思ったのか、岩泉
が俺の腕を掴んでずかずか歩き始めた。
どこに行くかわからなくて怖いけど、何も見えないからついていくしかない。
「っわダイジョブか茜ー」
「なに茜くん泣かしてんの岩泉!」
岩泉「っるせえ!」
途中ですれ違った人たちが心配してくれて、岩泉が余計に怒られてる。
ごめん岩泉。
岩泉「っおら、座れ」
『っわ』
どっかの空き教室だろうか。そこに入って、岩泉が内カギをかけたのが音でわかった。
椅子に座らされて、岩泉も俺の前に座った。
「尋問のお時間でーす」。頭の中で松川が言った。あれ怖かったなぁ。
岩泉「で?お前メガネかけてた覚えはあるけど、そんな目ェ悪かったのかよ」
『う、ん…普段はコンタクトしてるけど、結構特殊なやつで、すぐずれるから…』
…すぐずれるから、今は外してる。言わなくても伝わるかな。
岩泉「だからバレーやらないとか言ってんのか?」
『だって、あんまり動くと目ェ回って、…それで、
白鳥沢の皆に気を使わせて…』
…それ以上は、言いたくなかった。
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夏魚 - 花巻マッキー貴大で吹いたw (2022年3月13日 9時) (レス) @page15 id: 1abf611fda (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - つつきるさん» えーそうなんですか!そんなときは…どうすればいいんでしょう(゚ω゚) (2022年1月1日 23時) (レス) id: fc096b4a64 (このIDを非表示/違反報告)
つつきる - ヤバい俺の名前も茜だ、、。茜茜になったわ(笑) (2021年12月8日 19時) (レス) @page1 id: f14a78fd1c (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 如月さん» まじですかwそ、その人にバレませんように(?)((゚□゚;)) (2020年9月26日 18時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - やべぇマネージャーの名前w知り合いにいるw (2020年9月23日 23時) (レス) id: e103ce8776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蟹江 | 作成日時:2020年5月22日 17時