山姥切長義の"もしも" (ページ6)

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出会いページ6

愛姫side
その日、私は戦に出ていた。
誉を取って帰ってきた。
修行から帰ってきたばかりの私にとっての初陣。
帰ったら、いつもの通り、伊達のみんなに囲まれて、長船の皆さんが誉めてくれて・・・。
それが、いつもと何ら変わりのない日常。
ただ、その日は、いつもと違った。

光忠さんに、会わせたい刀がいる。
そう言われてついていったら、銀髪の青年が立っていた。
私とよく似た銀髪。
そして何より、彼から感じる気配。
紛れもない、父様の気配。
あの人の気配を感じた。
初めて見たその姿はまさに、"霊刀山姥切"に相応しいものだった。
長義「初めまして、愛姫。俺は山姥切長義。きみと同じ、長義によって打たれた刀だ」
しゃがんで目線を合わせてくれる。
長義「よろしくね」
そう言って笑った兄は、とても、綺麗だった。

愛姫「国広っ、どうしようどうしようどうしよう。お兄ちゃんに会えた！」
国広「ああ。ずっと待っていたな。ようやく会えたのか」
愛姫「それで、部屋も一緒になって、・・・待って。なんて呼んだらいいかな？」
国広「さっきみたいにお兄ちゃんでいいんじゃないか？」
愛姫「いきなりは馴れ馴れしくないかな・・・」
国広「先程本歌の本丸案内をしたんだが、あんたの話をしたら早く会いたいと言っていたぞ」
愛姫「本当？ホントにホント？」
国広「本当だ。・・・面倒くさいな、長義の刀たちは。・・・取り敢えず、仲良くしてやれ」
愛姫「言われずとも仲良くするよ」

その日の夜は、お兄ちゃんの歓迎会があった。
長義「そういえば、愛姫は今日の出陣で誉を取ったらしいな。おめでとう。流石、長義の刀だ」
愛姫「あ、ありがとう、ございます・・・」
国広「何緊張してるんだ。さっきまでお兄ちゃんに会えたーって喜んでたくせに」
長義「緊張・・・？」
愛姫「なんで言っちゃうの！？」
ぽんっと頭を撫でられる。
長義「俺は、兄弟として、愛姫と仲良くなりたい。ダメかな？」
愛姫「ダメじゃない！いざ会って話すとなると緊張しちゃって・・・。よろしく、お兄ちゃん」
長義「ああ」
彼はとても嬉しそうに笑った。

どうして、こんな事になっちゃったかな・・・。

長義「愛姫は、俺よりその偽物くんの方が大切なのかな？」

あの問いかけにどう答えるのが正解だったんだろう。
でも、自分の気持ちに嘘をつくなんて出来ないよね。
どんなに器用な刀だって、いずれ気づかれる。
どうしたら良いのかな？
いっそ、あの始まりの日に戻れるのならば、私は_____。