山姥切長義の"もしも" (ページ27)

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靄の中ページ27

大倶利伽羅side
何なんだ、あの黒い靄は。
ふと、水底に刀が沈んでいるのが見えた。
歌仙「おや？大倶利伽羅って、えぇ！？何故池に飛び込む！」
刀の姿の愛姫と、山姥切長義が沈んでいた。

愛姫side
暗い・・・。
ここは一体何？
黒い靄に飲み込まれて、それで・・・。
手に何か握っている感触があった。
ふと、手を見てみると、伽羅の首飾りを握っていた。
無くしたらいけないので、首から下げる。

『山姥を斬ったのは、国広の刀だよ！』

『どっちが本歌？』

『わかんない。でも、山姥を斬った方が本物だよ！』

『じゃあ国広の刀？』

何処からか、声が聞こえる。

『長義の刀が山姥を斬ったんじゃないの？』

『斬ってないよ。きっと』

長義「違う！山姥を斬ったのは俺だ！国広じゃない！」
お兄ちゃんの声が聞こえる。
愛姫「お兄ちゃん！何処！」

『行かない方が良いよ』

『きみまでそっちに行ったら、戻れなくなっちゃうよ？』

『あの長義の刀じゃなくても、山姥切はいるんだし』

愛姫「お兄ちゃんじゃなくても、山姥切はいる？・・・そうだね。確かに山姥切国広がいる。でもね、国広はお兄ちゃんみたいに頭の回転が速いわけでもない。実力勝負なら国広が勝つだろうけど」

ふと、何処からかお兄ちゃんの気配を感じる。

『だったら、長義はいなくても良いよね』

愛姫「お兄ちゃんも、あの本丸に必要なんだよ。そんなに名前にこだわらなくてもいいんじゃない？だってお兄ちゃんは、私たちの本丸の山姥切長義なんだから。だからさ、帰ろう」
スッと、暗闇からお兄ちゃんの姿が見える。
長義「だが、俺は・・・」
愛姫「まだ、自分だけが山姥切の世界がほしいの？」
長義「違う。俺はもう、本丸にいる資格がない」
愛姫「お兄ちゃんが望んでしたことだったの？」
長義「何度も望んだことがある。だが、実際にやろうとは、思わなかった」
愛姫「じゃあ、なんでこんなことに」
長義「俺が聞きたい。何故、俺だけが山姥切の世界になったんだ。何故、俺は、お前にあんなことを言ってしまったんだ。何故。何故だ・・・」

「やはり、消えてもらった方が速いか。何故か記憶が残っている第一部隊の面々もね」

あの言葉は、お兄ちゃんの本心ではなかったのだ。
愛姫「お兄ちゃん・・・」
？？「やはり失敗か」
後ろから、声が聞こえた。