突入 ページ23
愛姫side
国広「頼んだぞ。薬研、鯰尾」
薬研「おう！」
鯰尾「たっだいまぁーーーーーー！！！！！」
愛姫「うるさっ」
燭台切「それじゃ、僕たちも行ってくるねぇ」
愛姫「はい。思う存分暴れちゃってください！」
小竜「俺も離れに行くね。祖一人じゃ心配だ」
愛姫「はい。・・・国広、姫様の部屋に行こう」
国広「あぁ」
姫様の部屋に一番近い縁側から上がり込む。
どこかのお爺さんは土足禁止と怒り出しそうだけど、靴を脱ぐ暇なんてない。
事は一刻を争うのだ。
ふと、目の前に人影が見える。
伽羅「・・・貞」
愛姫「鶴さん・・・」
太鼓鐘「なぁ伽羅、愛姫、何かの間違いだろ？伽羅と愛姫が、謀反を起こしたなんて」
愛姫「うん。間違いだよ。そもそも私たちは謀反なんて起こしてない」
鶴丸「だったら、何故山姥切はあんなに血相を変えていたんだ？」
伽羅「知るか」
そっと、国広と伽羅にだけ聞こえる声で言う。
愛姫「行って国広。ここは私たちが受け持つ」
国広「だが」
伽羅「さっさと行け。あいつの目はお前が醒めさせろ」
国広「・・・わかった。無茶をするなよ」
愛姫「うん」
国広は二振りには見えていないようで、横を走りすぎていった。
私たちは刀を抜く。
鶴丸「・・・そうか。なら、此方も手加減はしないぞ」
愛姫「鶴さんや貞が、私に勝てるかな？」
私はこの本丸の初鍛刀。
ずっと、初期刀 山姥切国広の隣で戦い続けてきた自負がある。
鶴さんや貞に負けるはずがない。
伽羅「掛かってこい」
ここからは情けは無用の真剣勝負。
負けはしない。
貞は私に、鶴さんは伽羅に掛かってきた。
迷いのない一直線のスピード勝負。
機動は私の方が上だけど、その違いはほんの僅か。
なら、距離を積めるまで！
太鼓鐘「うおっとと！」
愛姫「ちぇっ。避けられた」
太鼓鐘「へっ。がら空き！」
胴を狙ってくる貞。
鞘を取り出し弾き返す。
愛姫「どこががら空きだって？」
太鼓鐘「反射能力高ぇな。愛姫は」
愛姫「それはどうも」
私は喉を狙う強烈な一撃を放つ。・・・ように見せ掛け、素早く後ろに回り首筋に一撃を入れる。
貞は驚いたような顔をしていた。
愛姫「フェイントは得意分野だっつーの。この騒ぎが終わったら、こういうフェイント対策の手合わせしようね、貞」
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年4月4日 20時
