山姥切長義の"もしも" (ページ16)

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愛姫様の刀ページ16

大倶利伽羅side
薬研「凄いな大倶利伽羅。あの愛姫を怒らせるなんて」
伽羅「・・・彼奴は優しすぎる。故に、怒るという感情があまりわかっていない。誰かがきっかけを与えなければ怒れない。そういうやつだ」
乱「愛姫ちゃんが怒ったところ今まで見たことないから。あんな風に怒るんだ」
歌仙「恐ろしいね。僕なら敵に回すようなことはしないね」
昔からそうだ。
彼女が自分で怒れたのは一度きり。
あの時は、何故怒ったんだったか。

昔の大倶利伽羅side
太鼓鐘「なぁ伽羅！愛姫が怒った！」
伽羅「そんなわけないだろ」
太鼓鐘「かれこれ二日怒ってるんだよ」
この二日、俺は戦で留守にしていた。
伽羅「おい光忠、どういうことだ」
燭台切「実はね妖が愛姫ちゃんの兄弟の噂をしててね。その兄弟は山姥を斬ったらしく、当然妖たちはそれを快く思わない。その話を愛姫ちゃんの前でしたんだよ。醜かろう、切れ味も悪かろうって」
太鼓鐘「取り敢えず伽羅からも何か言ってやってくれ！」
伽羅「はぁ？身内だろ。光忠が何とかしろ」
燭台切「何とも出来ないからお願いしてるんだよ」
伽羅「チッ」
面倒な・・・。

幸い、居場所はすぐにわかった。
凄い殺気だ。
伽羅「おい愛姫」
愛姫「あ？」
やはり長船だと思った。
光忠が怒ったときそっくりだ。
口調が悪すぎる。
伽羅「何故そんなに怒ってるんだ？」
愛姫「あいつら、父様の刀を醜かろう、切れ味も悪かろうと抜かしやがった。そんなわけないだろ。だったら私も同じだ。お前達が慕っている愛姫もその長義の刀なんだよ」
やはり凄く面倒くさい。
伽羅「俺には、兄弟がいないからわからない。が、そんなに怒ることはないんじゃないか？」
愛姫「は？お前政宗公の悪口言われて黙ってられんのかよ」
ぐうの音も出ない。
伽羅「・・・だが、低脳な奴等の戯れ言だ」
愛姫「低脳な奴等だからこそムカつくんだろ。何もわかってねぇ奴等が。そもそも、山姥を斬ったのだって人間だろ」
伽羅「そうだな。・・・お前は優しすぎるんだ」
愛姫「何だよいきなり。世辞か？」
伽羅「事実だ。それは愛姫様からもらった大切なものだ。大事にしろ」
愛姫「愛姫様から・・・」
愛姫が纏っていた殺気が消える。
愛姫様の名前を出すと収まるとは。
どれだけ愛姫様が好きなんだ。
愛姫「そうだね。あの人はそんなこと気にしないか」
伽羅「わかったならそれでいい」
愛姫「ありがとね。伽羅」
伽羅「フン」
見た目だけではなく、心まで愛姫様にそっくりだ。