山姥切長義の"もしも" (ページ15)

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怒れページ15

愛姫side
愛姫「乱たち、中々戻ってこないね」
鯰尾「だねぇ」
謙信「せっとくにてまどっているのか？」
愛姫「流石にそれはないと思います。だって、伽羅や歌仙が乱と薬研の話を疑うなんて、あるはずありませんから」
一期「そうだね。私たちは、何年間も部隊が一緒だった」
鯰尾「だから、説得に手惑うってことはないと思うんだけど・・・」
愛姫「何か、トラブルがあったのかな？」
一期「有り得るね」
薬研「お前ら、今すぐここを離れろ！」
愛姫「薬研っ！」
乱「皆が追ってきてる。早く！」
後ろには、伽羅と歌仙がいた。
どうやら、説得はできたようだ。
急いで崖から離れる。
一度洞窟に戻ることは諦め、近くの川辺でやり過ごすことにした。
愛姫「何があったの？」
乱「・・・本丸を出てくる途中、長義さんに見つかって、それで皆追いかけてきて」
薬研「何とかここまで逃げてきたって訳だ」
伽羅「・・・愛姫、大丈夫か？」
愛姫「え？」
伽羅「酷い顔してるぞ」
愛姫「そんなに、酷い？」
伽羅「はぁ・・・。思ってること全部吐き出せ。溜めたままは駄目なんだろう」
愛姫「それ、私が前に言ったヤツじゃん・・・」
謙信「愛姫・・・」
愛姫「許せないんだよっ。お兄ちゃんを。だってさ、そんなに執着する？自分の名前に。良いじゃない。名前がある分。・・・私はただ、お兄ちゃんにこの本丸で笑ってほしくて、貴方の居場所なんだって、気づいてほしくて。名前なんて関係ない。貴方はこの本丸の山姥切長義なんだって、自分で気づいてほしくて・・・。私は、何を間違えたの？」
伽羅「お前は何も間違えていない。お前は優しすぎたんだ」
謙信「そっそうだぞ！愛姫はやさしくて、つよいかたななんだぞ！」
一期「そうだよ。きみはいつも、新しく来た仲間が本丸に馴染めるよう、色々と考えていたじゃないか。何も悪くない」
鯰尾「そうだよ。あの生意気初期刀様をあそこまで強くしたのは愛姫なんだから！」
乱「自分の方が怪我が酷いのに、いつも手入れ部屋譲ってくれるし」
薬研「誰にでも分け隔てなく、笑顔で接している」
伽羅「その優しさを捨てることはない。その優しさは、あの人から貰った大切なモノだろう？」
一瞬、微笑む伽羅。
その微笑みはどこか、政宗公の面影が見えた。
愛姫「政宗、公・・・？」
伽羅「怒れ、愛姫。あいつを許す必要なんてない。あいつを見捨てろ。今は主を助けることだけ考えろ」
愛姫「姫様を、助けることだけ・・・」
私の中のナニカがプツンと切れた。