お盆、政府共同墓地にて ページ21
加州side
加州「あれ、朝日？」
朝日「加州」
加州「朝日も、お参り？」
朝日「そう」
加州「・・・」
朝日の持っている花は、"シオン"と"エーデルワイス"だった。
確か、シオンの花言葉は・・・
"君を忘れない" "遠くにある人を想う" "追憶"
そして、エーデルワイスの花言葉、"大切な思い出"
朝日が意図して供えているのかはわからない。
朝日「主、エーデルワイスが好きだったんだ」
加州「え？」
初めて、朝日が自分から前の主のことを語った。
朝日「花言葉、大切な思い出。花言葉が素敵じゃないって」
加州「歌仙が雅だとか言いそうだね」
朝日「実際言ってたよ」
朝日の目は、ここじゃない何処かを見ている。
朝日「だから本丸の花壇にはいつも、エーデルワイスが植わってた」
加州「へー、何か可愛い」
朝日「加州」
加州「ん？」
じっと俺を見る朝日。
朝日「・・・私はきみたちが少し、羨ましい」
そう言って去っていく。
『私はきみたちが少し、羨ましい』
それは本心から出た言葉のようだった。
何が羨ましいのかわからない。
朝日はいつも、はぐらかす。
言葉も、行動も。
俺は朝日のそんなとこが気に入らない。
だって、一人で抱え込むなんてバカじゃん。
いつか壊れちゃうよ。
朝日side
主のお墓参りをしていると加州に会った。
加州の持っている花は"ヒヤシンス"と"月下美人"
ヒヤシンスの花言葉は確か、"許してください"
そして月下美人が"ただ一度だけ会いたくて"
加州の主が好きだった花なのか、それとも彼の気持ちを表した花なのか。
きっと後者だろう。
加州の性格からしても、彼の過去からしても。
私は彼らが羨ましい。
新しい主がいない彼らが。
だって、もう失う悲しみを味わわなくて良いでしょ？
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年3月29日 19時
