17 鼓動〈虎杖side〉 ページ17
高専に来たばかりの頃、俺達の体術の訓練を見ている五条先生の隣に、ふと寄り添った人影に目を奪われた。
なんか、ふわふわした綿飴みたいな雰囲気の女の人。
可愛い人だなぁ…
素直にそう思った。
五条先生と言葉を交わし、可憐な笑顔を弾けさせている。
「余所見すんなバカ！」
「うがっ！」
おかげで防御が遅れて伏黒の攻撃をもろに食らう。
数メートルぶっ飛ばされた。
「いってぇ…」
「ほら」
近付いて差し出された伏黒の手をグッと握り、引き上げられる力に従って立ち上がった。
「Aさんが気になるのか？」
と同時に、思いがけず知りたいと思った名前を聞かされる。
伏黒ってエスパー？
「Aさん…？」
「五条先生の隣にいる人。医務室で助手をしてる、Aさん。見てただろ？」
「あぁ、可愛い人だなぁと思って」
「オマエ、素直すぎ…こっちが恥ずかしい…」
照れ笑いで擦り切れた頬を触ると血が滲んでいたらしく、指先が少しだけ赤くなる。
絆創膏でも貼ってれば治んだろ。
「悠仁くん！」
可愛い声に呼ばれて振り返ると…
栗色の柔らかな髪を揺らしたAさんが、心配に眉根を寄せて俺のところへ走ってきていた。
「身体は平気？ 傷見せて！」
「えっはい！ 絆創膏貼っときゃ治る――」
「――だめ。傷口から菌が入ったら大変だから、ちゃんと消毒しないと。こっち来て」
反論の隙もなく言いくるめられて、体温の低い手に手を握られる。
柔らかい…細い…握り返したら壊れそう…
女子と手を繋ぐなんて経験がなかったから、あまりの柔らかさに緊張で手汗が…ッ
「はい、ここに座って」
「A〜それくらい唾つけときゃ治るって」
「五条先生まで…もう！」
「ははっ！ 怒ったAも可愛い〜♪」
手当ての最中も、五条先生は茶々を入れてくる。
付き合ってんのかな…？
五条先生に恋人がいる感じ、全然しなかったけど。
「悠仁、もっと腰を落とさないと、今みたいに攻撃受けた時、踏ん張れなくて吹っ飛ぶよ」
「はい」
俺に指導を忘れないところは、ちゃんと先生だ。
でも、Aさんにはデレてる。確実に。
無意識なのか策略か…
「はい、終わり。絆創膏、ひきつってないかな？」
終了を合図に隣を向くと、結構近い距離にAさんの顔があった。
大輪の花のように華やかに微笑むAさんに、視線と心を奪われる。
「大丈夫…っす…」
「……何、悠仁。Aが可愛すぎて緊張してんの？」
「別にっ！？」
──ドクンッ！
瞬間、心臓が重たく跳ねた。
なんだ、これ。
俺の心臓…？ それとも…
*
18 不思議なこと〈虎杖side〉→←16 夜中の散歩〈虎杖side〉
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「五条悟」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずあ(プロフ) - みぃさん» ご愛読ありがとうございます！続編を楽しみにしていただけて嬉しいです(’-’*)♪ 近いうちにUPしますので、また遊びに来てくださいね！ 完結までよろしくお願い致します！(^人^) (2021年12月13日 0時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» ご愛読ありがとうございます！ 楽しんでいただけて私も嬉しいです(*´∀`)♪ 漠然と想い描いている最後を何とか文章に乗せて完結まで頑張りますので、よろしくお願い致します！(*-ω人) (2021年12月13日 0時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます♪続編嬉しいです！楽しみにしてますね(人 •͈ᴗ•͈) (2021年12月12日 20時) (レス) @page50 id: c397bf8382 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 続編ありがとうございます!いつも楽しみながら読んでいます!続編がんばって描いてください!楽しみに待っています! (2021年12月12日 17時) (レス) @page50 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずあ(プロフ) - ミーコさん» 応援コメントありがとうございます！キュンキュンいただけて嬉しいです！宿儺&五条&虎杖との絡みとか書きたいことが沢山あって１話詰め詰め型ですが、完結まで頑張りますので、最後までお付き合いいただけると幸せです。(*^ω^)♪ (2021年11月28日 20時) (レス) @page33 id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆずあ | 作成日時：2021年11月6日 18時
