それはぶどう味 ページ24
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目が覚めた。
またあの白い天井。
でも、あの時とは違うのは左京の声が聴こえるってこと。
「おい!A!」
「左京。おはよう」
「…、はぁ…良かった。やっと目が覚めたか」
揺すられた身体を今度は抱き締められた。
今のアタシには少しキツく感じる。
「?」
「2日。2日お前は眠ったままだった」
「そんなに?途中起きたと思ったんだけど…」
「は?いつだ」
「左京寝てた時。」
悪戯してたと思うんだけど。
眼鏡とか手を握ったりとか眼鏡とか
「は?」
「左京の眼鏡頭に掛けたまま寝た」
「…お前なぁ、!てっきり摂津辺りが来てやったのかと、………………はぁ。それよりも元気そうで安心した」
「記憶が曖昧だったからあんまり覚えてない」
「脱水症状で倒れて病院だ。点滴も打った。気分はどうだ?」
「なるほど。前よりはマシになった」
「…そうか。医者を呼んでくる」
左京が病室から出ていった。
しっかり周りを観察すると、一人部屋だった。
すごい。広く感じる。
窓が少し開いていて、カーテンが遊んでいる。
その遊んでいる様子をぼーっとしながら見てると扉の開く音がした。
「古市さん様子はどうですか?」
「…!…前よりはつわりが収まった感じがします」
「古市さんはつわりが悪化した妊娠悪阻の状態です。もう少しでお腹の子供もお母さんの古市さんも危ない状態になるところでした。旦那さんに感謝してくださいね」
「…はい、」
「つわりだからと言って放置する事は悪化する原因にもなります。今後つわりは収まっていくと思われますが、万が一また水分が取れない場合は遠慮せず病院にいらっしゃってくださいね」
「分かりました」
簡単な検査をしながら質問に答える。
その間も左京がアタシの手を握っていた。
「お腹減ってませんか?食べられそうな物ありますか?」
「…………多分、ゼリーなら、」
「飲み物は?」
「…分からないです」
「分かりました。そろそろ夜ご飯の時間帯なので持ってくるように伝えますね。食べられなさそうなら無理しないでください」
「…はい」
前にもお世話になった産婦人科の先生と看護師が出ていった。
それからしばらくして、ゼリーと経口補水液という飲み物が運ばれてきた。
左京も幾らか落ち着きを戻したのか、椅子に座っている。手は握ったまま。
前までは見るだけでも胸焼けして食べれなかったゼリー。今は何とも思わない。
「…いただきます」
ほのかに甘いゼリー。おいしい。
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勘久朗 - 左京さんをパパにして至さんを弟にして真澄を彼氏にしたい。 (2019年11月15日 23時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
勘久朗 - ヤバイ・・・好き・・・吐血する・・・真澄も左京もかっこよすぎ・・・真澄も左京も純愛・・・嫁にしたい・・・てか至さんの世話したい・・・(通常運転) (2019年11月15日 23時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 「解釈の一致」ってこういう事なんだなって思いました。尊いおぶ尊い。最高です。そして秋組もかわいい。読んでて心がきゅんきゅんしました。ありがとうございます。 (2019年3月19日 3時) (レス) id: ee1f3c5304 (このIDを非表示/違反報告)
しゆにだ(プロフ) - あぁ、左京さんとこんな恋したい。パパほしい。ほんとに夢のようだった ありがとうございました!!これからも頑張ってください! (2019年1月16日 21時) (レス) id: cc0fafd6d2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきゆき - 左京さんの優しさとかっこよさ、満開カンパニーのみんなの優しさが伝わってくる小説でした!更新頑張ってください!応援してます! (2018年11月28日 1時) (レス) id: 07636e0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡椒 | 作成日時:2018年4月22日 1時