【続】碓氷真澄の姉もサイコストーカー【A3!】

眠り姫の悪戯 ページ23

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左京から話を聞いて気付いた。
左京はアタシのお腹の中にいるこどもを心配してたんじゃないって。もちろん心配してない訳じゃない。
こどもを身篭ってるアタシを心配してたって。気付いた。

正直、親としての自覚がまだない。
だから、アタシがどうなるのか分からない。
ただ、左京の子供を産みたいって言う気持ちだけ。

それでもアタシにとっての一番は、左京。

逆の立場だったら、アタシも左京と同じ事を言う。
左京とのこどもは作ろうと思えば作れる。
でも、左京はたった一人だけ。

この子には申し訳ないけど、アタシはそういう心構えをする。
だから、なんの問題もなく健康に育って。
そうすれば全てが丸く収まるから。

左京のなでなでに、また直ぐ眠気が襲ってきてそのまま眠った。



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…つわりが重くなった。
今まで軽い方だと高を括っていたアタシ。
なんで重くなったのか分からない。妊娠してると言われた日から重たくなった。

最近は水を飲むのも辛くなって戻すこともある。左京に心配をかけてると思うと凄く悲しい。

ああ、また左京に迷惑かけてる。嫌だ。


｢大丈夫か？｣

｢…う、ん｣

｢…………これは何本にみえる｣


そう言って左京は3本の指を立てた。
正直に伝えると余計に顔を顰め、どこかに連絡した。


｢病院にいくぞ｣

｢え…？…なんで｣


水分を失った声で左京に聴いた。
色々な痛みが襲ってくる。その波に呑まれ、左京の姿も段々見えなくなってきた。


｢さ、きょう……どこ？…みえない…いかな、いで｣


枯れたと思った涙が目から零れた気がした。
身体を軽く揺すられた。
段々と左京の声すら聴こえなくなってきた。
そのまま意識がフェイドアウトした。


目を開くとそこは白かった。
身体を何とか起こした。光の加減でカーテンは肌色に見える。

ある程度の痛みは収まっていた。
それでも痛いけど。

少し眩しくて光の方向に手をかざす。

いつ間にかガリガリになった手。
見てて気持ちが悪い。

周りを見渡す。
すぐに見つけた金色の絹。眼鏡を付けたまま寝ている。


｢ふ、ふふ、左京眼鏡の跡着いちゃうよ？｣


ガリガリになった手で眼鏡を外す。
意外と簡単に外せた。そのままふざけて、自分にかけた。度数が強すぎて酔いそうになった。
外して自分の頭に掛けた。

座るのも疲れた。

左京の方を向いて寝転ぶ。
そして、意識の赴くまま左京の手を握って眠った。


──

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