第122話 ページ41
スタジアムは非難の嵐だった
シールドが張られていなかったら幾つも物を投げられていた事は容易に想像出来る
それ程までに、観客達は激昂していた
そんな中、1人の男はただ席につき凍てついた眼差しでフィールドを見つめていた
先程、チャンピオンの切り札であるリザードンが意地を見せサザンドラを地に沈めた流石、と言うべきか
しかし、事は刻一刻と収束に向かっている
あのリザードンが倒れるのも時間の問題だろう
対してAの持つポケモンは残り5体
自分の娘の勝利を確信していてもその男の表情は変わらなかった
その時までは
─────
ここまで数多の罵詈雑言を浴びてきた
幾度となく嫌悪の目で見られてきた
それでもAは歩みを止めることは無かった
心が壊れるギリギリのラインで踏みとどまっていた
……いや、既に壊れていたかもしれない
けれど、そうだとしても諦めなかった
しかし、それももう無理だった
あと少しのところで、希望は絶望へと変わり、光は闇に飲まれた
これまでの努力は結局無駄だったと、そう突き付けられたのだ
『ぁ…あぁ……』
その場に崩れ落ちるA
その心はぽっきりと折れ、粉々に砕け散った
リーグスタッフがこちらに近付いてくるのが見える
あれはきっと家の者だ
自分を迎えに来た、そう頭が理解しているのに身体が動かない
あそこに帰りたくない、そう本能が叫んでいるのに動けない
なにも、かんがえられない
もうなにもかもがいやだ
こうして息をすることも
目を開けているのも
だれか
だれか
『だれか、たすけて』
震える声で
掠れた声で
今にも消えそうな声で
きっとこのスタジアムにいる誰にも届かないだろう声で、ポツリとこぼしたその声を
｢ガギャギャァアｯ──────！！！！！｣
彼女を愛した神は聞き届けた
──────
｢なんだ……何が起きている……！？｣
突如スタジアムに現れた巨大なポケモン
そのポケモンはフィールドの至る所に配置していた筈のエスパータイプポケモン達を一斉掃討した
｢なにアレ！？｣
｢一体どこから出てきた！？｣
会場は混乱の渦
観客達から見れば、突然巨大なポケモンが現れフィールドにいるポケモン達を攻撃し始めたのだ
しかし、観客の中にはひと握り、シンオウの文献を読んだことがある人間もいた
あのポケモンを知っている人間からすれば、この状況で誰よりも恐怖しているだろう
｢空間の神が、どうして……｣
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冰輪(プロフ) - 続き待ってます！！ (2月6日 9時) (
レス) @page43 id: 3dfd0d46a5 (このIDを非表示/違反報告)
冰輪(プロフ) - コメント失礼します！116話のダイゴの台詞のひとつがダンデになっています。とっても面白くて好きです！ (2月6日 9時) (レス) @page33 id: 3dfd0d46a5 (このIDを非表示/違反報告)
momizi0825(プロフ) - コメント失礼します!続き待ってます! (1月20日 1時) (レス) id: a200abc37f (このIDを非表示/違反報告)
らる - コメント失礼します！読んですごく面白いので更新をいつでも待ってます (12月23日 16時) (レス) @page43 id: 28b9feb329 (このIDを非表示/違反報告)
ライスカレー(プロフ) - コメント失礼します！とても面白くて一気読みしてしまいました。続きを楽しみにしています！いつでもいいので、気が向いたときにでもまた更新してほしいです！ (10月21日 23時) (レス) @page43 id: 99fa8549ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒梨 | 作成日時：2020年11月10日 12時
