空間の神に愛された彼女は今日もがむしゃらに息をする

第36話 ページ40

シンオウ､カントー､ジョウトから戻って1年が経った今日



いよいよジムチャレンジの旅に広大なガラルの大地へと踏み出す



何度かワイルドエリアには立ち入ったことはあるが､あちこちの街に1人で出るのはこれが初めてだ



極力私も人前には出たくなかった



シンオウやカントーはまだいい､しかしガラルは…マレディクシオン家の本家が生まれた場所


ガラルで私達を知らない者はいない



身の安全の為にも､1人で街に言ってはいけないと何度も言われた




けど､今日から私は1人でガラル中を旅する事になる
いや…1人､ではなかった
大丈夫､私には心強い仲間達がいる




何としてでも､このジムチャレンジを突破して…チャンピオンを倒さねば



無敗の王､チャンピオン·ダンデ



わずか10歳にしてチャンピオンの座に着いたとされる強者




勝てるか?



いいや分からない



それよりも､まずはジム戦を攻略しないと



私は決めている
この戦いが終わったら､家を捨ててガラルの地から消える事を



自由になる為に､私はジムチャレンジに参加する
圧倒的な強さをつけて､誰にも縛られない為にも



『…ここが､エンジンシティ……』



初めて降り立つその街は圧巻だった
あちこちの建物から蒸気と思わしきものが出ている


そして何より大きい



『…とりあえずジムを探さないと……』




｢ねぇ…あの人って…｣

｢…絶対そうだよ､見てあの目…｣

｢なんでこんな所に…｣



『…』



はぁ…やっぱりこうなるか
知ってた､どんな目で見られるかなんて


カタカタカタとボールが揺れる


『…大丈夫､落ち着いて……私なら大丈夫だから』


今にもボールから飛び出して暴れようとするサザンドラの入ったボールをそっと撫でる


収まったかな?


??｢キミ､そこで何してるんだ?｣
『!!』


突然鋭い声をかけられる
驚いて反射的に振り返り､その声の主に言葉を失った






剣と盾が描かれたユニフォーム





風にたなびく真紅のマント




全てを見透かすような黄金の瞳





獅子のたてがみの様に伸びた紫の髪





その頭に乗せられた王冠のようなキャップ









ガラルが誇る無敗の王者






チャンピオンのダンデ選手だった

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