第15話 ページ17
『兄さんどうしたの?』
神妙な顔の兄2人に手をひかれるがまま庭へと出てきたA。
一体どうしたのだと、幼いながらも自分の主人が少し怖い雰囲気の2人に連れていかれたのを心配してヒトモシとシビシラスも着いてくる。
意を決したように、ノボリはAの肩をそっと掴む。
ノボリ「……旅に出る日を延期しませんか?」
『え……?』
クダリ「もう少しAが大きくなってからにしない?」
『兄さん……?』
突然一体何を言い出すんだと驚きのあまり、言われた事への理解が遅れる。
『待ってよ兄さん。何言ってるの?私もう11歳だよ?十分大きくなったよ』
ノボリ「分かっています。旅に出るには十分な歳だと」
クダリ「でもぼく達Aがとっても心配」
ノボリ「はい、年齢を重ねたと言ってもまだ子ども。まだまだか弱いアナタを1人で旅に行かせるなど」
クダリ「ぼく達Aに旅の話をしたけど、本当に危険がたくさん。Aひとりじゃ危ない」
『兄さんだって私と同じ歳で旅に出たじゃん……トレーナーカードだってもう作ってもらった!父さんと母さんも旅に出て良いって言ってる!』
そこから先は押し問答の平行線を辿り、3人の言い合いはどんどんヒートアップして言った。
ノボリ「わたくし達はAの為を思っているのです!今旅に出ると言うならわたくし達も同行いたします!!」
『だからって旅に着いてくるなんてありえない!!』
クダリ「ぼく達なら強いからAを守れる!!Aも安心して旅が出来る!!」
『私もう子守されるほど子どもじゃないし弱くない!!』
だから旅には絶対一人で行く!!と叫んだAにいよいよノボリとクダリは強硬手段に移る。
ノボリ「そこまで言うのなら仕方ありません」
クダリ「Aが弱くないって言うのなら」
『?』
モンスターボールを構える2人は、旅に出るなどお兄ちゃんが絶対許しませんという目をしていた。
ノボリ「わたくし達を倒しなさい!シャンデラ!!」
クダリ「Aが勝ったら許してあげる!シビルドン!!」
『!』
ボールから繰り出されたのは高レベルのシャンデラとシビルドン。今Aの元にいるヒトモシ、シビシラスの親だ。
そんな高練度のポケモン相手に対するAのポケモンはまだまだ産まれたばかりのベビーポケモン2体。
大人気ないにも程がある。
妹を心配する気持ちは100歩譲っていいとして、初心者相手に8つのジムを突破したポケモンを出して勝てとかどんな無理ゲー。
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒梨 | 作成日時:2023年5月16日 22時