就任秘話３７ ページ1
「…太宰君？
僕は未だ許可していませんよ。」
「この娘は件の少女なのだよ。
安吾も協力してくれると云っただろう？」
「それは正体を探る事を前提とした話でしょう！？
お払い箱になった少女の面倒を見るなんて云って無いですよ。」
私を置いて、二人は話をしている。
疑問は沢山あるが、今は黙っていた方が良いだろう。
「そもそも。どうやって部屋を割り出したのですか？」
「織田作がねぇ、掃除用具入れは何処に行ったんだ？って云うもんだから。
幹部にあんな事を聞くなんてね。可笑しくて笑っちゃった。
それで調べてみて、この娘の部屋だって事が判った。」
「成る程。…でも何で僕なんですか。
確かに前線に出て闘うことはありませんけど。」
「…ねェ、君さ。
自分で自分の事、出来る？」
「………えっ？」
急に話を振られて、間抜けな返事をしてしまう。
太宰さんの云っている事は、どういう事なのだろう。
一応、あの部屋にあった物の使い方は広津さんに教えて貰ってはいたが…。
「どうなのさ。何か云ったら？」
「えっと…一応一人で生活はできていましたけど…。」
「そっか。じゃあ…」
太宰さんは男性の持っていたペンをとり、机上の紙にさらさらと何かを書き始めた。
凄い形相で睨まれているが全く気にせず、私の前に書いたものを突き付けた。
「これ、読める？」
「……読めません。」
難しい文字が羅列している。
貧乏だった為、教育なんぞ受けていない。
会話は出来るが、それを文字に書き起こすことはできなかった。
「ほらね。安吾、君なら先生になれるかなと思ったのだよ。」
「はァ？僕がそんなに暇そうに見えます？」
「うん、見える。
任務の時間だから、行くね。じゃ。」
「え、待って下さい！」
男性が呼び止めるも、太宰さんはさっさと部屋を出て行ってしまった。
気まずい沈黙が流れる。
男性は浅い溜息を吐くと、ぶっきらぼうに云った。
「…今は仕事中なので、少し待っていて下さい。
話はそれからしましょう。」
頷くと、紙にペンを走らせ始めた。
聞きたいことも聞けず、只この状況を受け入れるしかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1506人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆっきー - 更新、とても楽しみにしてます。今までは福沢さん派でしたが、これを読んで、森さんが推しになりました。もう、森さん愛が止まりません。続きを読める事を心の底から楽しみに待っています。 (2019年3月29日 2時) (
レス) id: 2fa8d71e18 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - あの……。すごい続きが気になってしかたがありません……((更新頑張ってください。いつまでも待っていますので…!!もう、口からイチゴオレですよ((汚い。 失礼しました_;;ーд#_ (2019年1月5日 14時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
夢歌 - とっても面白いですね！…もう更新はしていないのでしょうか。作者様が書けるのであったら続きを書いて欲しいです。…長文失礼致しました。 (2018年10月19日 19時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚澤 | 作成日時：2018年1月2日 23時
