慰めの言葉９ ページ10
首領室を出ると、廊下の奥から足音が聞こえた。
「お主も大変じゃのう。
首領の御守りは骨が折れるじゃろう。」
暗がりから現れたのは、尾崎様だった。
腕の中では、エリス嬢がすやすやと寝息をたてていた。
前々から感じていたが、尾崎様は首領に裏の顔があることを薄々勘づいているような発言をなさる。
まぁ、首領は気付かれても別に気にしないと思われているようだが。
「全く、エリス様の世話人は何をしておるのじゃ。
休憩所でクレヨンを握りながら寝ておったぞ。」
「きっと、追いかけている途中で見失ってしまったのでしょう。
エリス様は私がお部屋までお運び致します。
世話人の方にも連絡を入れておきます。」
「そうかえ？
然し、何から何までお主に任すのは…」
「尾崎様の御手を煩わせるわけには参りませんから。
さ、エリス様を此方に。」
尾崎様はまだ何か言いたげな表情をしながら、エリス嬢を差し出した。
ぐっすりと眠っておられるエリス嬢は全く起きる気配がない。
「A。お主によいものをあげよう。」
歩き出そうとした私を、尾崎様が呼び止めた。
そして懐からチョコレイトを取り出し、私のポケットへ入れた。
「そ、そんな。頂けません。」
「お主は働きすぎじゃ。少しは休まぬと、体に毒じゃぞ？」
「私は大丈夫ですよ。寧ろ、働き足りないくらいです。」
尾崎様は深く溜息をつき、首を横に振られた。
「そうやって、疲れや悩みを溜め込むと、爆発した時取り返しがつかない事態になるやもしれぬ。
…これからは、わっちを姐だと思い相談でもなんでもするが良い。
お主には何時も部屋を綺麗に保ってもらっておるからのう。
ちょっとしたお返しじゃ。」
優しい笑みでそう仰ると、来た道を引き返された。
「あ、ありがとうございます！」
遅れて私がお礼を言うと、尾崎様は右の手をひらひらとさせた。
そのお姿はとても麗らかで、美しかった。
＿＿
最近全く慰めてない…
すみません、ちゃんとタイトルに沿うように努力します。
次回から少しだけ裏のお話を挟みます。
首領を慰めている間に、幹部や芥川、樋口、黒蜥蜴らは何を話していたのか？みたいな内容です。
何話程になるかわかりませんがお付き合い願います。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月25日 1時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - とても面白いお話ですね！『やめないか。』が『やらないか。』に見えました！←どうでもいい (2018年1月3日 20時) (レス) id: 343e14107c (このIDを非表示/違反報告)
アメヲト - おおおっ！戻って下さり本当にうれしいです♪ (2017年2月14日 21時) (レス) id: dfeb66c68a (このIDを非表示/違反報告)
唯 - お久しぶりです！！ (2017年2月14日 17時) (レス) id: 80ca6023d8 (このIDを非表示/違反報告)
カヤ猫 - 面白かったです！今後森さんとどうなるかが気になります。更新頑張ってください。 (2017年2月12日 19時) (レス) id: 30c508f23e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚澤 | 作成日時：2017年1月12日 23時
