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少し落ち着いてからまた梨花の病室の前に来た。
『ふぅ…』
深呼吸をしてドアを開ける。
太「あ……A…」
『……梨花、、』
不思議そうな顔で見てくる梨花。
すぐ私のこと忘れてるって分かった。
梨「どちら様ですか?」
『っ、梨花の親友の橘Aです…』
梨「Aさん…来てくれてありがとう…」
すっごい違和感。梨花に敬語なんて何年ぶりだっけ…
Aさんなんて呼ばれた事だって無かった。
私は気付いたら梨花を抱き締めてた。
梨「Aさん…?」
『ごめんね…梨花…。私のせいで、ごめん…』
梨「謝らないで下さい…私は何があったか…」
敬語なんてよそよそしいよ。
Aさんなんて呼ばないでよ。
いつもの梨花の笑顔見せてよ。
ふざけて皆で笑いあって、それが私達じゃなかったっけ?
梨「…A。こっち見て」
『ん…?』
私が梨花を見ると梨花はいつも通りの笑顔で、
梨「私なら大丈夫。だから泣かないで?」
って言ってくれた。
私がよそよそしい態度に、初対面の人みたいな接し方に泣いているのを
感じ取ってくれたらしい。
『うん…ありがとう…』
私は何も話さないで見ていてくれた皆に、
『ありがとね…』
って言って病室を出て行こうとした。
その時、
梨「A、ありがとう」
って声が聞こえて足を止めた。
涙が次から次へと出てきて返事さえも出来ずに病室から出る。
私の事忘れちゃってるのに、ちゃんと友達みたいに接してくれる梨花の優しさ。
そんな梨花を思うと、一瞬だけ、チャンスかもって思ってしまった
自分がさっきよりも最低に思えてきて。
梨花が私を忘れてしまっている事と自己嫌悪で涙がまた止まらなくなってしまった。
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作者名:本条優柚 | 作成日時:2017年3月18日 4時