L.O.V.E

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F side




一足先に撮影を終え、北山の終わりを待って楽屋にいると以前ドラマで共演した女優さんが楽屋にやって来た


俺を太ちゃんと呼ぶその人は俺の演じる主人公の恋人役で濃厚なベッドシーンまでやった

周りは俺たちを美男美女だ、相思相愛だなんて言って本人も満更ではない様でドラマの共演以来、機会があればこうやって声をかけてくれる


小柄で気さくな性格と笑顔が魅力的な人だけど
俺に媚びる様な甘い声や態度がちょっぴり苦手だった



「太ちゃん、今日このあと何かお仕事ある？無ければ前に言ってたイタリアンの………」

「あぁーごめん。撮影終わるの待ってるヤツいるから…下まで送るよ！」



これから楽屋に戻って来る北山にはこの人と一緒にいるのを見られたくなくて楽屋にいたニカと健永に声をかけて駐車場まで見送りに行った



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それじゃぁ、気を付けてねと踵を返すと背後に温もりが感じられて抱き付かれたと分かった



「ねぇ、太ちゃん……私ね……」



俺の事が好きだとそう呟いて回された腕にぎゅっと力が込められた



「ご…めん……俺、好きな人いるんだ…」



触れられてもドキドキしなかった
好きだと言われても嬉しくなかった
抱き付かれても抱き締めようと思わなかった


不思議だな


北山とは目が合うだけでドキドキして
自分の気持ちを伝えたくなって
1ミリも離れたくなくて
ずっと触れていたいと思う


早く北山に会いたい
もう一度しっかり気持ちを伝えるんだ


彼女には悪いけど気持ちを受け止める事は出来ないと断って楽屋に戻った



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