僕ハ君ナシデ愛ヲ知レナイ (ページ9)

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いつも肝心な時は隣に藤ヶ谷がいた

嬉しい事、楽しい事、悔しいこと、悲しい事も

また新たに始まっていくこれからも
どんな時も隣にいて一緒に感じさせて欲しいと思う

でも最近、感じてる違和感が
俺を不安にさせる

藤ヶ谷が俺から離れてどんどん遠くへ行ってしまう気がして

彼奴の笑顔が頭の中を支配するこの気持ちが何なのか分からなかった

「ふぅ…」

「なに、溜息なんてついてんの」

思ってもいなかった声にびっくりして振り返るとトイレの出口の壁に寄りかかる藤ヶ谷がいた

ただ、そこに藤ヶ谷が居るだけなのに何故か心臓が煩い

「いやっ、別に…溜息なんてついてた？」

「無自覚かよ…」

なんだか久しぶりに2人きりで話した様な気がしてこの後どうしたらいいのか分からない

「折角、デビューが決まってめでたい席なのにさっきから此処に皺寄ってるよ…」

「…っ……」

トントンと俺の眉間を人差し指でつつきながら見つめられたと思うとすぐにまた目を逸らした藤ヶ谷

さっきから煩くなり続ける心臓の音が藤ヶ谷にまで聞こえているんじゃないかと思うほど静まり返った空間

「…あ、えっと…その…っあ…」

どうしたんだろう

″デビュー決まって良かったな″

″これからもよろしく″

そんな簡単な言葉が出てこない

「ふははっ、北山、焦り過ぎ」

他の奴らになら何も考えずに発せられる言葉が何故だか出て来ず言葉に詰まっていると
藤ヶ谷が口元に手を置きながら笑った

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