りあらぶ × BE LOVE 〜なるべくゆっくり歩いていこう

部屋とDVDと藤北 ページ13

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＿＿＿ドックン‥ドックン‥ドックン‥‥



この音が聞こえるだろうか

これは俺の心臓の音

今の俺の心臓は犬や猫の様な小さな身体にクジラや象並の巨大な心臓が入っているんじゃないかと思う程
大きく大きく鼓動する


おまけに心臓の動くスピードもいつもより早くなる所為で呼吸も苦しくて上手く息が出来ない



＿＿＿コトッ‥‥



目の前に大きなマグカップが二つ置かれた
これは前に俺達のバラエティ番組で宮田がLAのお土産としてプレゼントしたマグカップ
大きすぎるそのマグカップには甘いミルクティが湯気を昇らせていた



「北山さ、俊くんたちのパフォーマンス最後まで見た？」

「見た、けど‥」

「セリフんとこ、あれ、俊くんが自分で考えたんだって」

「へぇ」

「なんかあれ見てさ、俊くんの玉に対する気持ち？みたいなのすごく感じてさ、玉は恥ずかしそうにしてたけど、お互いの真っ直ぐな気持ちが伝わってるの分かって感動しちゃった」

「はぁ」

「めちゃくちゃお似合いだよね、あの二人」



会議室での打ち合わせの後
何でもやると言った俺を自宅に連れて来た藤ヶ谷
宮田達のパフォーマンスをDVDで見ながら最終確認をするとかなんとか理由を付けられたが別に会議室でも出来たことなのにわざわざ藤ヶ谷の自宅でやるとは
藤ヶ谷んちで二人きりというパワーワードに狼狽える俺を他所に藤ヶ谷はなにも気にした様子はなく
俺をここまで連れてきた


そして目の前でにこにこ嬉しそうに話してる

一体、何年ぶりだ？と最後に藤ヶ谷の家に来た時を思い出してみても
はるか昔、ジュニア時代、実家を出た藤ヶ谷が初めて一人暮らしをしたマンションに何人かで行ったっきり

それ以降の記憶は正直言って無い

それくらい藤ヶ谷と俺はプライベートを共にする事は無かった


あの時とは比べ物にならない程広くて綺麗な高級タワーマンション

藤ヶ谷らしく黒を基調としたスタイリッシュな部屋で藤ヶ谷がよく身につけているブランドのアクセサリーやサングラスがこれまたカッコよく飾られている


資料や本が散らばった乱雑な俺の部屋とは正反対の部屋に
藤北は似ているところがないとか背中合わせだとか言われる理由を見つけた気がして少し寂しい気持ちになった


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