REAL ME

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それから暫くしてプロデューサーとマネージャーが部屋に入ってきた
これからお互いの意見を出し合ってユニット曲を決める



「北山さん、藤ヶ谷さん、候補の曲は聞いて頂けましたか？」

「はい」

「では、お二人が良かったと思った曲を教えてください」



俺が選んだ曲を藤ヶ谷も受け入れてくれるかな
歌詞の内容が内容なだけに却下される可能性も高い
でもどうしても俺は藤ヶ谷とこの曲をパフォーマンスしたいと思った



「俺は、この曲がいいかなって思って…
ロック調のメロディーもカッコいいし、歌詞もインパクトがあって、俺と藤ヶ谷でやるなら…これだって俺は、思いました…」



資料を指差して恐る恐る目の前に座る藤ヶ谷の顔を見た
藤ヶ谷は資料をジッと見たまま眉尻をピクッと動かした



「僕たちもこの曲がいいかなと候補に入れたんだ。藤ヶ谷さんは、どう思う？」

「………」



やっぱりこの曲はやりたくないか…
何も言わずにただ資料を見つめている藤ヶ谷の表情は固い


この曲のテーマでもある″homosexuality″
普遍的な愛のカタチと認識されつつあるがまだ差別的で偏見的な考えを持った人も多い

そんなテーマを掲げた曲を嫌いな奴と歌うなんて嫌だよな

俺がいくら藤ヶ谷を好きでも藤ヶ谷は俺の事なんて眼中にないだろうし
でも仕事の時だけは藤ヶ谷とのユニットだけはどうしても俺の存在を認めて欲しい
この曲でなくても隣で藤ヶ谷と一緒に歌いたい



「あ…藤ヶ谷が嫌なら別に俺は、他の曲でも…」

「……ょうぶです」



藤ヶ谷が小さく頷いた



「大丈夫です。俺も、この曲がいいと思います」

「そうか！じゃぁ、藤北ユニットはこの曲で決まり！」



藤ヶ谷の一言であっという間にユニット曲が決まった



【REAL ME】



レコーディングとライブパフォーマンスを会議する日が決まりプロデューサーとマネージャーは会議室を出て行った


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