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お昼どき。
店内は賑やかで今日もたくさんのお客さんがここのカフェへやって来る。
そんな忙しい中、いつものように今日も聞こえる。
「はあ…」
このため息を聞いたのは何度目だろう。
『坂田くん。見すぎだよ。』
ため息の犯人はバイトが同じの坂田くん。
バイトなんかそっちのけで厨房から身を乗り出す勢いで客席の方を見つめている。
「え!!ばれた!?」
『ばればれです。』
坂田くんは恥ずかしいなあなんてえへへと笑う。
坂田くんの視線の先にいたのは、このお店によく来る女の人。名前は千紗ちゃん。
坂田くんはこの人に一目惚れをしてからというもの。名前を聞き出して、厨房でずっと「千紗ちゃん千紗ちゃん」なんて言っているから私まで名前を覚えてしまった。
その日から坂田くんは毎日千紗ちゃんで頭がいっぱいみたい。今日もこんな調子だ。
千紗ちゃんはよくここのお店に来てくれる方で私も何回か接客したことがある。
大人しいけど優しくて笑顔が可愛くて、ふわふわした可愛らしい女の子だ。
「はあ…今日も可愛いなあ。」
うっとりと彼女を見つめながら今日も坂田くんは幸せそう。
「ねっ。Aちゃんもそう思うでしょ?」
きらきらとした目で私を見る坂田くん。
「そうだね」なんて、いつものように私が答えようとすると、坂田くんの後ろでにこにこ笑っている浦田さんが立っていた。
…目は笑っていないけど。
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作者名:なかた。 | 作成日時:2018年3月1日 23時