ちいさなこいのうた （ 青 ）

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「 10年前のこと覚えてる？」





『 いきなりだね〜
覚えてるよ。ちゃんと。
入学式の日にいきなり

「好きになっちゃいましたっ！」

なんて言うんだもん。
とんでもなく軽い男だなあ〜って思った。』







そうやって昔の思い出を
楽しそうに話す君。









「なあ、A。

10年前からずっとこの気持ちに
嘘も偽りもありません。

かっこいいことなんて言われへん
朝だって起こされても起きひん
靴下も脱ぎっぱなし
掃除も片付けもろくにできやん。

Aおらんかったら
なーんもこの家のことわからへん。

けど、そんな俺でも
Aを好きな気持ちは
嫌っちゅうほどわかる。


喧嘩して雨の中飛び出したとき
早く家に帰りたかったこと。
やのに意地張って一晩外で過ごして
風邪引いたこと。

仕事帰りに見つけた花屋さんで
Aに似合う花探してたら
2時間も過ぎちゃって
なにしてたの？って怒られたこと。

サプライズしたくて
飲み会やって嘘ついたら
すぐにバレて怒られたこと。



思い出したら
俺ばっかり迷惑かけてるなあ。』








「どうしたの、そんな改まって。」

そういって君はまた笑う。









『この10年、
ずっと隣で笑っててくれてありがとう。

俺と、結婚してくれませんか。』



fin.








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