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歪み硝子に決別を・切開 ページ48

「俺を頼れ、遠慮しやがんな!」



ああ、今度こそ謝らなければ。

Aは後悔した。



影浦の向こうに懐かしい面影を馳せたことでもなく、
それを無理やり隠し込めていたことでもなく、

ただ、信頼に値しないのか、と言われたような感覚に虚を突かれた。

考えもしなかった。
彼なら許容してくれる、という信頼を。彼なら遠慮はいらない、という信頼を。

その事実が無意識下にあったことは、Aにとって衝撃だったのだ。



対岸側のソファに座る影浦を、そっと見やる。

「つか、突っ込まれて言えるンなら最初から言っとけや、コラ」

両手を威嚇のようにぐわあと曲げる彼は、もはや普段通りの様子だ。





「…」

対するAは未だ無言を貫く。表情は固い。

信頼、していない訳がないと思っていた。
けれど、遠慮、遠慮かあ。

棘が傷口を作る。優しく膿んで心を刷新する。

私は寂しがりではない、怖がりだったのか。
深く強く関わり合うことを、怖がって遠慮していたのか。

…もう二度と、苦しまないために。




「カゲは」

「あー?」

「…カゲは、つよいねえ」

「オメーが軟弱なんだろ」

「そうかも」

「だからしんどい分は俺に吐いとけ」

「苦しくならない?」

「クソ能力に比べりゃずっとマシだ。」





にやり。苦味と期待の混じった言葉を掛ける。

そこには決して嫌味などない、頼れる友人としての笑みがあった。

歪み硝子に決別を・前進→←歪み硝子に決別を・明星



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(プロフ) - この小説大好きです。頑張ってください! (2020年3月9日 22時) (レス) id: 3553c63234 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 続き気になります!更新頑張って下さい。 (2017年8月1日 10時) (レス) id: 05ce5fca4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未紺碧 | 作成日時:2016年6月27日 18時

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