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凍てついた手触り・磁石 ページ14

…止めなければ。



影浦は直感的にそう思った。



A「私、もっと狙撃、練習しなきゃいけないから。ごめん」
影「今9時だぜ」
A「大丈夫だよ」
影「…今日訓練無かったのか?」
A「あった」

影「じゃあオメーが行くのはこっちだ」



そこまで言うと、影浦は突然Aの右手首を掴んだ。

影「…(細ぇ)」
率直な感想は心に留め、そのままぐいぐいと彼女を引っ張って歩き始める。

A「ちょ、なに」

わたわたと抵抗するAだが、所詮男女の力の差など知れている。

A「離して」
影「じゃあ素直に着いてこい」
A「でも、そっちは」
影「息抜きだと思え」



ずるずるずる。

影浦は順調に引きずっていたが、

A「っ、」


ガッ


影「ッ!?」
突然、影浦の視界に天井が映り、

ゴッ!

かと思えば、いつの間にか冷たい床に背中を叩きつけられていた。



A「…隊務規定にはギリギリ逆らってないよね」

傷付けてないし。

そう付け加えるAの目は、微かな怯えを含んでいる気がした。





影「って、何しやがるっ」

我に返り、がばっと起き上がった影浦は怒り口調だ。

A「ごめん、わかんない」
影「あァ!?」
A「…おやすみ」



…意地でも止めてやる。
つかつかと、影浦は彼女をしつこく追う。



影「まだ話は終わってねーだろがっ」
勢い任せに、右手で彼女を掴む。

A「…行かなきゃ」

左腕を捕らえられたAは、もはや影浦に見向きもしない。
だから、彼女の微かに揺れる目など、彼には知りようもない。

暫く互いの力が拮抗して、

影「こんの…っ」



ぐいっ。



強引に引っ張ったのがいけなかった。



A「うわっ」



ぽすん。



影「あ」



…やっちまった。
影浦は内心激しく後悔した。



A「……」

影浦よりも小さく華奢な彼女の身体は、すっぽりと彼の胸に収まっていたのだった。

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(プロフ) - この小説大好きです。頑張ってください! (2020年3月9日 22時) (レス) id: 3553c63234 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 続き気になります!更新頑張って下さい。 (2017年8月1日 10時) (レス) id: 05ce5fca4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未紺碧 | 作成日時:2016年6月27日 18時

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