夕焼けと黒【ワートリ】2 (ページ2)

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落者は微笑む・懸橋ページ2

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彼は、視ていた。

彼女が鍵になることを。

彼は、視ていた。

尚も橋渡しする、己の姿を。

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隊員と解散した帰り、
鉢合わせした城岩と影浦がぽつぽつと話していた。

影「オメー、最後のアレいつ仕込みやがった」

城岩「え。ちょっと前から、作戦室でこっそり」
影「ったくムカつくぜ」
城岩「隠しててごめん」

子犬のように項垂れて、心底怯えたような申し訳なさを見せる。

影「そういう意味じゃねーよ。
サシで遊べるかと思ったのに、とっととケリつけやがったのがムカついてんだ」

城岩「うーん。それはチーム戦だから仕方ないかな」

影「ッはー…。
オイ明日ソロやんぞ」
城岩「うん。訓練終わったらいいよ」

やがて聞こえるのは、
壁にもたれながら話す2人に近付く、軽やかな足音。

「ようシロちゃん、カゲ」

A「あ、迅」
くるり、と振り返る城岩は、やや弾んだ声のままだ。

迅は影浦に少しガンを飛ばされた。

迅「今日の試合も大活躍だったな、シロちゃん」
ぽん、と笑顔で城岩の頭に手を置いてみる。

彼女は少しくすぐったそうに目を細めた。

A「いま影浦とその話をしてたよ」
迅「ほう？
仲いいなー2人とも」

影「…」

ニヤニヤと影浦を見遣るが、彼は威嚇する気満々である。

迅「秀次んとこもそうだったけど、隠し玉の多い回だったな」

A「しゅーじ？」
迅「三輪隊の隊長」

A「あー。
重りの弾はちょっと焦ったよ」
迅「鉛弾(レッドバレット)ね。
秀次のやつ、かなり本気で潰しにかかって……」

ムﾞーッムﾞーッ

ふと、
邪魔をするなと言いたげに、迅の持つ端末が鳴った。

迅「ありゃ、残念呼び出しか。
んじゃ、次も変わり種を期待してるよ。カゲもな」

A「うん」
影「…」

言いたいだけ言って端末を耳に当て、ひらひらと手を振る迅を見送る。

城岩は影浦に向き直った。

影「ンだよ？」
A「…カゲ」

影「！」
A「カゲ？」
影「…おう」

表情の読めないAはじっと影浦を見つめ、
彼はガシガシと頭を掻いた。

A「そう呼んでもいいの」
影「勝手にしろォ」

目を逸らす影浦の肌には、
意識せずとも優しいものがふわりと刺さる。

A「よかった」

少しずつ、少しずつ。
覗く心底を、開いてゆく。