夜桜宴会 ページ17
近藤「じゃあ、桐鳥Aちゃんの生還と退院を祝して!!!」
カンパーイ!!!!!
近藤さんの声に合わせてみんなで叫べば、
屯所の広間はお酒の匂いが広がった。
桐鳥「ありがとうございますっ」
この匂いだけで酔いそうな私は精一杯の笑顔を振る舞う。
正直に言えば、お酒はほどほどにしてほしい。
桐鳥「土方さん、」
土方「ん、あぁ………悪ぃ。」
日本酒を飲む土方さんは、どこか色っぽい。
艶っぽいというのかわからんが、色気がすごいのだ。
やけに静かなせいかもしれない。
土方「……………なんだ?」
桐鳥「あ、いえ、ごちそうさまです。」
土方「は?」
何故だろう、いつもはムカつくはずの鋭い視線もあんまりムカつかない。目がちょっと虚ろだからか!?それとも溢れ出る色気のせいか!?
沖田「桐鳥ィ、ちょっと来い」
桐鳥「え!?来いっていうか引きずってますよね沖田隊長!!」
沖田「うるせぇな大人しく引きずられろィ。あとその隊長呼びやめろィ!」
ズルズルと引きずられながら宴会会場を後にする。
桐鳥「ちょ、沖田さん?……………寒っ」
今日は風が吹いていた。そのせいか、いつもより気温が低く感じられる。
沖田「あぁ、まだ大丈夫だ。」
桐鳥「へ、何がですか?」
沖田「……………夜桜」
少し散ってはいたが、美しい桜が遠くにあった。
大木、とまではいかないが、通りなどに咲いている桜とは何故か違って見えた。
沖田「これはきっと、俺だけしか知らねェ。土方コノヤローも、近藤さんも、知らねェと思う。」
桐鳥「なんで、私に、」
沖田「アンタとここで飲んでみたかった、それだけでさァ。」
沖田さんは私が見たことのない酒瓶を出した。
ちゃっかりおつまみまで持って来ていた。
桐鳥「沖田さん、私まだ未成年です。17。」
沖田「俺ァ18だ、大丈夫だろィ」
彼は2つのお猪口に酒を注ぎ、1つを私に押し付けた。
飲め、ということらしい。
無言の圧である。
沖田「………盃を交わす、ってのも悪くねェ。
ほら、飲んでみろィ。」
桐鳥「内緒、ですよ?」
くいっ、と傾ければ、先に花のような香りがした。初めて飲んだアルコールは意外に美味かった。
沖田「……………うめぇ、かィ?」
桐鳥「………」
お酒の美味さに驚きで、思わず無言で頷いてしまった。
すると、沖田さんは無言で自分もその味を堪能し始めた。
相変わらずのポーカーフェイスはどこか幸せそうに見えた。
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エルマロ(プロフ) - 続きが気になる… (2020年6月6日 12時) (レス) id: 4f30ca6216 (このIDを非表示/違反報告)
エルマロ(プロフ) - 面白いですね!更新頑張ってください! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 4f30ca6216 (このIDを非表示/違反報告)
#性別行方不明 - ご指摘ありがとうございます!!!小五郎になってましたね、申し訳ございません。 (2019年4月29日 15時) (レス) id: c7972307f2 (このIDを非表示/違反報告)
ノーマン愛してる - 小太郎です (2019年4月25日 20時) (レス) id: af0233cc60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:#性別行方不明 | 作成日時:2019年3月31日 19時