「じゃあ俺と付き合う？」(M.S) ページ7
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「Aさーん、ここどーぞ！」
トイレから戻ってくると、さっきまで私がいた場所には他の人が座っていて。
どうしようかな、ときょろきょろしていたら察しのいい後輩が気付いて呼んでくれた。
「奥座ってください」
『ありがと？』
わざわざずれてまで壁側を譲ってくれた彼の行動は少し不思議だったけど、メニューを差し出されてすぐに頭から抜けてしまった。
程なくして届けられたライチサワーにちびちび口をつけていると、お隣からじーっと熱い視線を感じる。
『……佐野くん、見過ぎ』
「あ、ごめんなさい。なんかいつもより可愛いなぁって思って」
『すぐそーゆうこと言う』
「ほんまっすもん！ 信じてくれへんの？」
心外、とでも言いたげに口をへの字に曲げ覗き込むように首を傾げるあざとい彼。
心臓の音が早くなったのを隠したくて、こくりとお酒に力を借りる。
『佐野くん、ちゃらい』
「えぇ、どこがっすか！ めちゃくちゃ誠実やし尽くすタイプやのに」
『うそだぁ』
「じゃあ俺と付き合う？」
そしたらわかるんちゃいます、と続けた彼の言葉はとても簡単だったけど、アルコールに侵された頭で理解するにはとても難しくて。
何も聞かなかったことにしてグラスを大きく傾けた。
「Aさん、耳赤いっすよ」
『ひゃっ、』
「照れてんのも、それ隠そうとしてんのも可愛いです」
私の耳をふにふにと弄ぶ少し冷たい指とは反対に、私の身体は温度を上げていくのを止められない。
お酒のせい。酔っ払いの戯言。
わかってるのに、でも佐野くんの顔を見ることができなくなっていく。
「んふふ、めっちゃかわええ。もっと俺にドキドキしてほしいです」
『……えっ、？』
「あ、帰り送ってくんで他の人についてったらダメですよ！」
にこにこと微笑む彼は普段と変わらない顔色。
そういやお酒弱いって、前に言ってたのに。
いつもだったら、とっくに赤くなってるのに。
『……佐野くんずるいね』
「なぁんでやねん。Aさんとられたくなくて必死なだけやもん」
助手席から見る彼のかっこよさを知るまで、あと30分。
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ゆの(プロフ) - ゆきまろさん» こちらの方までありがとうございます！ 佐野担さんに喜んでもらえたなら大満足です！！ (2022年10月26日 10時) (
レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまろ(プロフ) - 佐野担の私は無事に死亡しました、、、これ何回も読みます、、！ (2022年10月25日 23時) (レス) id: fd73da006f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆの | 作成日時：2022年10月25日 4時
