幽体離脱したdt様と生霊のnb

幽体離脱したdt様と生霊のnb：３０ ページ30

　
　
　
　
　
　言葉が出ない。


　一方の翔太は俺をジロジロ見てくる。

　普段と違う事ばかりだから、怪しんでるのかな。


「……入っていい？」

「……ああ、うん。入って」


　あぁ、びっくりした。

　翔太ずっとそこにいたの？


「コーヒーでいい？俺もさっき起きたとこ――」


　言いながら背を向けた瞬間、抱きしめられた。


「……ごめん……」


　またびっくりした。


「……ごめん……

　電話……言い過ぎた。俺……お前傷つけたかもしれないって……」


　――あぁ、あったかいなぁ……

　首に翔太の体温が伝わってくる。


「……大丈夫……分かってる……」


　体を翔太に預ける。

　本当は立っているのもキツいから。

　俺の珍しい行動に翔太の抱きしめる力が強くなる。


「……お前に無関係じゃねえぞ。

　お前の事は俺の事だし、

　俺の事も……お前の事に思って欲しい。

　……それくらいの関係値になったじゃん……

　俺達婚約したんだから……」


　嬉しくて心臓が震える。


　……生きている証拠だ。


「……ありがと」


　ごめん。

　翔太、こういう事言うの苦手なのに。


　夜中なのに俺を心配して来てくれて、
　外でずっと待っててくれて、
　こんな事言ってくれて、

　本当に申し訳ないんだけど……


「――涼太！？」


　立っているのが限界で、翔太の首に腕を回した。
　もう目の前が回って……
　……ごめん、コーヒー無理。


「……ベッド……連れてって……」

「――えっ？……お――おぅ……うん……」


　……あ……俺……勘違いさせたかも……

　
　翔太が力強く俺を抱き寄せ、寝室へ向かう。

　ベッドに優しく下ろされると一気に眠気が襲い掛かってきた。


「――涼太……？」

　戸惑った声。そうだよねぇ。


「ごめ……ねむ……」


　もう目を開けてられない。
　翔太の腕を探すと、その俺の手を握ってくれた。


　そのまま両手で握り返して抱きしめた。


「……いて……」


　そう言うので精いっぱいだった。

　俺はまた意識が遠くなっていった。
　
　
　
　
　
『大丈夫。ガッカリしてない。外でずっと待ってたから疲れてて、結構すぐ寝た』

　あ……チャンネル合ったんだ。
　
　
　
　
　
　
　

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