検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:40,721 hit

80話(土方side) ページ43

誰とも一切の会話をせずに夕食を済ませ、俺は
一人で縁側に向かった。
丁度綺麗な月が、ぼんやりと輝いていた。









壁に寄りかかって胡座(あぐら)をかき、
月を眺めてボーッとする。
たまにはこうして、何も考えずに過ごすのもいいかもしれない。そう思った。









「十四郎副長っ」









「…あァ?…藤咲か」









頭上から弾むような声が飛び込んできたかと思えば、ストンと俺の隣に座る藤咲。
彼女はこちらに向かって笑いかけた。









「もう、夕食食べ終わったらすぐにいなくなっちゃうから、心配したんですよ?」









「別に何処行こうが俺の勝手だろ」









「ふふっ、確かにそうですね?」









全く悪びれる様子も見せず、にっこりと笑った後に、彼女は月を眺めた。









「今日の月、綺麗ですね」









「…あァ」









それから暫く、藤咲と話していた。
…正しくは、彼女の話にひたすら相槌を打っていた
だけなのだが。









夜も更けてきて、暗くなってきたので、
俺はすぐ隣の藤咲に声を掛け_ようとした。









そう、掛けようとしたのだ。
声を掛けなかった理由、それは_









「_んん…」









藤咲が、俺の肩に寄りかかって寝ていたからである。
起きろ、と軽く揺すってみたが、反応がない。
いや、この状況を、俺にどうしろと。









「おい藤咲、起きろって…」









まずいな。
この状況を他の隊士の奴らに見られたらどうなるか
分かったモンじゃない。
小さく舌打ちしたところで、足音が聞こえてきた。
それはだんだん大きくなってくる。









「…あれ、土方さん、こんなところに_あ」









暗がりから現れたのは、Aだった。
恐らく「あ」と言ったのは、藤咲の事だろう。









「A、こいつどうすれば良い?」








そもそも藤咲を自室まで連れて行くなんて事、
俺はしたくないし、どうせなら同性であるAに
頼むのが得策だと思い、俺はそう言った。
だが、Aはほんの一瞬だけ目を伏せてから、
答えた。








「_知りません。もう夜も遅いので、早く寝てくださいね。明日も仕事ですから。では、おやすみなさい」








そう冷たい声音で答えた後、Aは静かに、
真っ暗な縁側へと消えていった。








結局その日は、別の女中に頼んで藤咲を連れて行ってもらった。
それにしても、A彼奴絶対怒ってるだろ。
本当に、俺何かしたのか?

81話(夢主様side)→←79話(夢主様side)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
155人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 沖田総悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

蒼桜 - アトさん» コメント有難うございます!藤咲さん、悪女っぷりを発揮し始めてます(笑)面白いと言って頂けて幸いです!次巻が公開されたら、是非訪問してくださいね♪ (2018年12月30日 10時) (レス) id: 09d654d65e (このIDを非表示/違反報告)
アト(プロフ) - 藤崎バルス。すごく面白いです!(*^ω^*) (2018年12月29日 20時) (レス) id: e67fafc940 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - 乃愛さん» コメント有難うございます!面白いと言って頂けて嬉しいです!これからの展開、是非期待してくださいませ!(笑)これからも頑張ります! (2018年12月26日 20時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛 - 初コメです!この小説とっても面白いです!毎回楽しく読んでいます!ライバルの女の子が出てくるとことか凄く楽しみです!更新頑張ってください(〃⌒ー⌒〃) (2018年12月26日 18時) (レス) id: 986dd761b2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - RURUさん» 本当ですか!とても嬉しいです!有難う御座います!名前変換と言いますと、現在の伊勢屋篇の姉妹達の名前とかだったりしますかね?一応出来るようにしておきますが、間違っていたらすみません! (2018年11月11日 10時) (レス) id: 09d654d65e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:千暖 | 作成日時:2018年11月5日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。