【銀魂】真選組副長補佐をオトす方法２

72話(夢主様side) ページ35

全員で挨拶をし、一斉に夕食を食べ始める。
まず初めに卵焼きを頬張った。









「…美味しい…」









え、何これ。美味しい。
卵焼きってこんなに美味しいっけ。









丁度正面の席に座っていた藤咲さんが、にっこりと
こちらに向かって微笑んだ。









「本当ですか？実はこれ、自信作なんですよ！」









「そうなんですね…すごいなあ藤咲さんは…」









そう呟きながら、横目で両サイドを見てみると、
2人も私と同じように卵焼きを食べながら、小さく
頷いていた。
その様子を見てか、藤咲さんは満足そうに笑った。
それから、私達に向かって話し始める。









「私、仕事仲間の方とかとはフランクに接したいんですよ。だから、もし嫌だったらごめんなさい、
なんですけど、下の名前で呼ばせてほしいなって…」









私と正反対じゃん。
咄嗟にそう思ったが、その言葉は飲み込んだ。
隣で夕食を食べていた沖田さんが、藤咲さんの言葉に答える。









「ああ、別にいいと思いますぜ。俺の下の名前は
総悟でさァ。で、ついでに言うとこっちがA、
それで…」









沖田さんが私を指して名前を言った後に、土方さんの方を指して、続けた。









「あっちがニコ厨でさァ」









「だーれがニコ厨だって…？」









頰に薄ら笑いを浮かべて言う土方さん。
本来なら、まあ絵的には格好良いのだろうが、
状況が状況だけに格好良くは見えない。









土方さんと沖田さんのいつも通り…まあ側から見れば非日常なやりとりに、藤咲さんは苦笑していた。
場の収拾がつかなくなる前に、私はとりあえず正しい情報を伝えておく。









「藤咲さん、土方さんの下の名前は十四郎です。
ニコ厨ではありませんからね？」









「…えーと、土方副長の下の名前が十四郎、沖田隊長の下の名前が総悟、水上副長補佐の下の名前が
Aですね。分かりました、ありがとうございます！」









ゆっくりと確認し、最後に無邪気な笑顔を浮かべる
藤咲さん。
そんな彼女の笑顔に、周囲の隊士たちは色めき立つ。









「やべえ可愛い」









「結婚したい」









「それは流石にキモい」









そんな事を隊士たちが口々に言う。
聞こえていないのか、それとも聞こえないフリなのか、藤咲さんは隊士たちの方を見ようともしない。









なんだかんだ言って藤咲さんは悪い人ではないだろうな、私はそう思っていた。

73話(夢主様side)→←71話(夢主様side)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す