65話(銀時side) ページ27
正直言って、Aに会えるとは思っていなかった。
勿論嬉しい。
新八と神楽が定春の散歩に行ってくるというので、
ついて行くべきかと思ったが、やめた。
俺が向かったのは、コンビニ…でもなく、
パチンコ屋…でもなく、
かぶき町にある茶屋だった。
そこの団子がまた絶品なので、久しぶりに食べに
行こうと思ったのだ。
そこでばったり会ったのがA、というわけだ。
いつも彼女の傍にいる事の多い多串君や総一郎君が
おらず、Aは1人で店先のベンチに腰掛け、
今まさに団子を頬張ろうとしていたところだった。
「あれ、Aじゃねェか。今日はお一人様か？」
そう声を掛けてみれば、ゆっくりと顔を上げるA。彼女の表情には、心なしか不満が混じっているようだった。
何、銀さんなんかした？なんかしたの？
「あ、旦那。こんにちは」
頬張り掛けていた団子を皿に戻し、律儀に挨拶してくれるA。
完璧だよねこの子。神楽とかに見習わせたほうがいいよね。
それから少しだけAと会話を交わした後、
彼女の隣に座る。
神楽や新八が帰ってくるまでに万事屋に戻っておかなくていいのか、と聞いてくるあたり、やはり彼女は色々な意味で律儀なのだと再確認した。
「ああ、それは心配するな。出掛けてくるって
言っておいたから大丈夫だよ。それより…」
Aの質問にそう返答し、俺は言葉を切って、
彼女にぐいっと顔を近づけ、言う。
「もうすぐクリスマスだろ？
本当なら俺がAからのプレゼントが欲しいくらいだが、どうやらあのマヨサドコンビはAに好意を寄せているらしい。まあ、やり取りを見ててもなんとなく分かるが。
御察しの通り、あの2人とは、多串君と総一郎君の
事だ。もし本当にあげるなら、どんな物をあげるのか、気にならなくもない。
だが、俺の言葉に、Aは眉をひそめた。
「はい？」
それから、何か考えるように、Aは数秒フリーズした。その短い沈黙も、俺は時間が勿体無い気がして、口を開いた。
「あ、勿論銀さんにも何かくれるんだろ？」
が、その言葉は完全に不発。
Aは呆れたように首をすくめた。
「相変わらずですね、旦那。現金な人」
そう言った後、彼女は困ったように笑った。
Aは、あの2人にはもったいねえくらい良い奴だな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼桜 - アトさん» コメント有難うございます！藤咲さん、悪女っぷりを発揮し始めてます(笑)面白いと言って頂けて幸いです！次巻が公開されたら、是非訪問してくださいね♪ (2018年12月30日 10時) (
レス) id: 09d654d65e (このIDを非表示/違反報告)
アト(プロフ) - 藤崎バルス。すごく面白いです！(*^ω^*) (2018年12月29日 20時) (レス) id: e67fafc940 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - 乃愛さん» コメント有難うございます！面白いと言って頂けて嬉しいです！これからの展開、是非期待してくださいませ！(笑)これからも頑張ります！ (2018年12月26日 20時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛 - 初コメです！この小説とっても面白いです！毎回楽しく読んでいます！ライバルの女の子が出てくるとことか凄く楽しみです！更新頑張ってください(〃⌒ー⌒〃） (2018年12月26日 18時) (レス) id: 986dd761b2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - RURUさん» 本当ですか！とても嬉しいです！有難う御座います！名前変換と言いますと、現在の伊勢屋篇の姉妹達の名前とかだったりしますかね？一応出来るようにしておきますが、間違っていたらすみません！ (2018年11月11日 10時) (レス) id: 09d654d65e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千暖 | 作成日時：2018年11月5日 16時
