63話(夢主様side) ページ25
団子が来てからだった。その出来事が起きたのは。
3人でいっせーので団子を頬張ろうとすると、
私達は我らが局長、近藤さんに声を掛けられたのだ。
「あ、こんにちは近藤さん。どうなさったのです?」
無礼にあたるかと、頬張り掛けた団子を皿に戻して
聞いた。
近藤さんは申し訳なさそうに答える。
「いや、実はな…悪いが、トシと総悟に頼みたい
仕事があるんだ。結構重要な仕事だから、今すぐ
屯所に戻ってもらっていいか?」
それを聞いた土方さんと沖田さんの反応は、
真っ二つに分かれた。
つまり、土方さんは呆気にとられたようにぽかんと
口を開け、沖田さんは不服そうに顔を歪めた。
「え?いや、何だよそれ。俺聞いてねえんだけど…」
「そうですぜ。俺も聞いてません。どういう事ですかィ、近藤さん?」
2人の言葉に、近藤さんは困ったように苦笑した。
それからまた控え目な声音で言う。
「実はな…」
それから、近藤さんは申し訳なさそうな苦笑を
浮かべたまま、土方さんと沖田さんに、仕事の内容を伝えた…らしい。
実際のところ、近藤さんの両サイドに2人が移動して、私だけが茶屋の店先のベンチに1人でちょこんと座っている状況。
近藤さんの声は丁度私までは届かないレベルで、
土方さんと沖田さんにだけ聞こえるボリュームだった。
近藤さんの話が終わった後、土方さんと沖田さんが
私に向き直った。
「悪いA、ちょっと外せねえ仕事が入ったから、
俺たちは屯所に戻るわ」
「折角Aと一緒にいられるチャンスだったのに、
ついてねェなァ…また、俺と一緒に行きやしょう」
2人とも、申し訳なさそうな声音で言う。
きっと、私が不満に思っていると考えているのだろう。あながち間違ってはないが、どうしても外せない仕事なら仕方ないと思う。
「良いんですよ。気にしないでください。
また、一緒に来ましょうね」
勘違いされないように微笑みつつ言う。
むしろ仕事なら早く行くべきじゃない?
私の返事に安堵したように、土方さんと沖田さんは頰を緩ませると、近藤さんと共に屯所に戻っていった。
3人を見送ったところで、ハッとする。
この団子どうするん?
お金はあるんだよ。あるんだけど。
1人で全部食ってたら変な目で見られそうだな。
自分の傍に並ぶ団子の皿を見て、溜息をついた。
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蒼桜 - アトさん» コメント有難うございます!藤咲さん、悪女っぷりを発揮し始めてます(笑)面白いと言って頂けて幸いです!次巻が公開されたら、是非訪問してくださいね♪ (2018年12月30日 10時) (レス) id: 09d654d65e (このIDを非表示/違反報告)
アト(プロフ) - 藤崎バルス。すごく面白いです!(*^ω^*) (2018年12月29日 20時) (レス) id: e67fafc940 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - 乃愛さん» コメント有難うございます!面白いと言って頂けて嬉しいです!これからの展開、是非期待してくださいませ!(笑)これからも頑張ります! (2018年12月26日 20時) (レス) id: 6b4203fd69 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛 - 初コメです!この小説とっても面白いです!毎回楽しく読んでいます!ライバルの女の子が出てくるとことか凄く楽しみです!更新頑張ってください(〃⌒ー⌒〃) (2018年12月26日 18時) (レス) id: 986dd761b2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - RURUさん» 本当ですか!とても嬉しいです!有難う御座います!名前変換と言いますと、現在の伊勢屋篇の姉妹達の名前とかだったりしますかね?一応出来るようにしておきますが、間違っていたらすみません! (2018年11月11日 10時) (レス) id: 09d654d65e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千暖 | 作成日時:2018年11月5日 16時