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「喉を焼く薬! あれ作ったのが貴方様だと聞きました!」
「ああ、そうだね。それがどうかしたのかい?」
「原料は!?」
「んー…企業秘密、かな」
「あちゃーっ! 駄目ですかぁ…」
はぁあ…とあからさまに落ち込んだように項垂れてみせる。同時に、メモ帳を取り出し、サラサラとコメントを書いて両手で小さく持つ。
「せめて! その棚の何処にあるか教えてもらってもいいですか!?」
「んー…それならいいよ、おいで」
「わーい!」
白衣の男性の隣に行き、一緒に薬品棚を眺める。すると様々なラベルが貼られており、白衣の男性は一つの瓶を指差した。
「これだよ」
「これですか!」
白衣の男性が棚の鍵を開けてくれたので手に取る。蓋を開けると粉末状になっており、メモ帳を一枚破り、粉をサッと入れて紙を折る。
「それを二錠のカプセルにして飲ませると効果が出るよ」
「ほうほう! カプセルって透明なのとかでもいいんですか?」
「ああ、それは平気だよ! 寧ろ水に溶かした方が早いと思うな!」
「えー? でも、他の薬で先に弱らせてから“これで治りますよー”とかやった方が良くないですか?」
「君中々エグイね…」
「あざっす! ところでお名前は?」
こてん、と首を傾げれば、白衣の男性は私の頭を撫でながら微笑んだ。
「くられ先生とでも呼んでくれたまえ! 今後とも宜しくね、リディちゃん」
「はい!」
くられ先生は私の手から粉の入った紙を取ると、懐からカプセルの入った袋を取り出し、簡単に錠剤を二つ作ってから紙に戻す。そして、私に返されたので、それをしっかりとポケットに入れておく。
「まあ、余程の事が無ければ首は持ってかれないんで大丈夫ですよ! くられ先生は外部の人間なんですよね?」
「ん? ああ、そうだね」
「でしたら、今日の内に“しっかりと棚のチェックをしてから”帰った方がいいですよ! 近い内になーんかドンパチする予定らしいんで! 呼ばれるのは嫌でしょうから! では、お気を付けて!」
バタバタと派手に外へ出て行けば、医師が心底うるさそうな顔をしながらこっちを見た。
「…満足したか」
「はい! お邪魔しましたー!」
医務室を出て、次に調理室に向かう。すると、メイドさんたちが忙しなく働いており、たまたま気付いた一人が此方にやって来た。
「デットマー様、どうなされました?」
「いやぁ、コップと白湯が欲しくて! ポットでお願いしたいんですけどー」
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作者名：ゆうにゃん | 作成日時：2019年5月23日 21時
