《第1弾》ブーゲンビリア〜M.Tasuku ver〜

ヤンデレ ページ38

あぁ、もうっ！！


バンッと机を叩いた拍子に積み重なったファイルがバラバラと落ちる

中身が散らばって混じる資料
それだけでストレス倍増

立ち上がったら今度、机の電気のコードが椅子に絡まりブチッと火花を散らして電気は消えた

…もう、いい

気分転換にお風呂でも入ろ

痛む頭を抑え、フラフラと部屋を出る

この部屋は私の仕事部屋だった

反対側にはクローゼットがあり、基本的には綺麗に整頓されている部屋だが、今日は違った

ほぼ私のせいだが、床にも机の上にも資料の山
服が脱いだ形のまま放り出されてる

鼻の奥がツンとしたけど、私はそれを無視した

ﾊﾞｰﾝｯと大きな音を立てて肩で壊すように開けた扉

と、同時に翼が家に帰ってきた
「ただいま。｣

翼が家に帰ってくるのは2日ぶりだった
その声はいつもより低く、いささか不機嫌そうだった

私は私でムスッとしていたが、辛うじて笑顔を作り「おかえりなさい｣といった

しかし、少し棘があった

あぁ、もう！何もかもイライラする

なんで今日帰ってくるの！？
私の寂しい時には居ないくせに、いて欲しくない時に来るなんて
ぐつぐつと煮えてくる腹のどす黒い何か

こんな日には早く寝てしまうのが1番
しかし、今寝てしまうと明日は朝3時には起きなくてはならない

チッて翼がいなければしてやりたいくらい

「今日のご飯は？｣

ダルっとでも言いた気な位にぐでっとソファーに伏せた翼

翼からは僅かに女物の香水の香り

自分でやれば？

喉元まででかかった言葉を飲み込んで変わりに

「冷凍してあるからチンして｣

あぁもう、どんな言葉にも棘が入る

「ん｣
でも、翼の言葉にもある気がする

私がお風呂から上がると翼が言った

「アーヤ、部屋片して｣


クローゼットが開かないんだ、と。

「わかったから、あっち行ってよ｣

つい、八つ当たりをしてしまった

言ってからしまったと思ったけど1度言ってしまった言葉は元に戻らない

ピリッと空気が張り詰める

髪から垂れた水滴が床に落ちる

「は？｣
翼は翼でやはり刺々しかった

その声はゾッとするほど低く私の脳に響いた

私は色んな感情に飲み込まれる

関係の無い事までイライラしてくる

何よ、私だって疲れてるの
それに翼は仕事できるからいいじゃない
私なんて出来ないのに仕事押し付けられて、終わらないし
翼なんて女の子にチヤホヤされているからいんじゃない？
辛いこととその女の子達が癒してくれるもんね

その匂い、ほんとにムカつく

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