《第1弾》ブーゲンビリア〜M.Tasuku ver〜

○ ページ33

「アーヤ、いつも可愛いけど今日はすごく可愛いね｣


付き合って暫く経ってるから、「可愛い｣なんて久しぶりで

「あ、ありがと｣

ツンとそっぽを向いてしまった
可愛いって言って欲しくて選んだのに…

自分で自分が嫌になってプゥと頬を膨らませてるとギュッ頬を掴ませて空気が抜ける

「ぶふっ！もう翼っ！｣

翼は笑って優しい目で

「だって可愛かったんだもん｣

なんて言うからおこれないじゃん


(どーせ、そうすれば怒られないって分かってるんだろうけどね)

ずっと一緒にいるもんだから最近では思考回路が読めるようになってきた

まだまだ、予想外が多いけど

駅に着くと特急の切符をかった


電車で1時間くらい経つと目的地に到着

「うわぁ！｣


キラキラとガラスのような素材で出来ている観覧車

ぐるんっと一回転しているジェットコースター

まるでおとぎ話のようなメリーゴーランド

どれもいままで見てきた中で1番のものばかりだった


見上げる空は雲ひとつない青空！

「暑くなる前に遊びつくそう！｣


受付のお兄さんにチケットを2枚渡すと私たちは園内に入っていった


「えーと、まずジェットコースターでしょ？タワーでしょ、それから観覧車かな｣


二人で行きたいところをピックアップしていく


初めに軽いジェットコースター。それからコーヒーカップ

地に足をつけてもまるで船から降りた時のように世界がぐるぐるしてる

クラクラしてきた…


「ちょっと休もっか｣


日が高くなってきて暑くなったので、アイスを買ってきて日がけのベンチに座りながら食べた

「おいしい｣


丸いツブツブしたアイスで私のキャラメル、翼はバニラ


「アーヤ、あ〜んして｣


「は、恥ずかしいから！｣


「じゃあ、全部食べちゃうよ？｣

…

「あ、あと1口でおわりだ｣


…

「ほんとにいいの？｣

…

私はそっと目を閉じた

「食べます｣

「じゃ、アーンして｣

クククと喉を鳴らすように笑ってるのが目に浮かぶ

「あ、あーん…｣


僅かに開けた口に入る冷たくて甘いアイス

こんなにバニラって甘かったっけ


あぁ、恥ずかしい

「ありがと！じゃ次のところいこっ！！！｣

私が恥ずかしさを誤魔化すように言うと私の後ろから着いてくる翼はまた笑った


「そんなに行きたいの？｣


今、翼がどんな顔で話してるのかなんて分からない
「すっごく行きたい！｣


今更「まだゆっくりしたい｣なんて恥ずかしくて言えないけどきっとバレてるんだろな


「じゃあ、早く行こっ｣

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