《第1弾》ブーゲンビリア〜M.Tasuku ver〜

○ ページ29

すっかりその味に虜になった私はまだよくペースも分からないのにゴクゴクと沢山飲んでしまった


ポヤァとする視界

ジンジンと熱い体

フカフカのソファー席

この頃しっかりと寝てないのも影響してかうつらうつらしてくる

頭の端にはちゃんと起きなきゃとか、翼に電話しなきゃとかぐるぐるしてるのに瞼はどんどん重くなってきて少しだけ…と目を1度閉じると瞼は開かない


「あ〜あ、寝ちゃった｣






翼side

アーヤか相葉さんの頼みで飲み会に出かけるのは知っていた

俺も今日は会議があるから帰りは遅くなる

会議が終わったのは9時頃

目上の人が会議室から出ていくのを待ってそれから会議室を出ると時刻は既に９時半


カバンの中に入れていたスマホを取り出して簡単に確認するけど、肝心のアーヤからはなんの連絡もなくて

まぁそのうち来るだろうと悠長に考えていた


「あっ、タスス！｣


少しハスキーな声がして振り返ると相葉さん


まぁ、タススなんて呼び方するの相葉さんだけだしね

「お疲れ様です。
どうしたんですか？｣


「いや、実はさ彩ちゃんに飲み会の代行を頼んだんだけど…彩ちゃんケータイ忘れてっちゃったみたいでさ


ほら、連絡なくてタスス心配してるかなーって

ごめんね俺のせいで｣


わざわざそんなに律儀にしてくれなくてもってくらいに気遣い屋さんの相葉さんは申し訳なさそうに眉を下げた


「ありがとうございます。何時になるかはわかんないスけど、夜だし迎えに行こっかなって思ってて
今日どこなんですか？｣



相葉さんに場所を聞いて車で迎えに行ってみる

いつも隣にアーヤがいることが多いから何となく1人の暗い車は心細い

お腹すいたな、なんて思ってもお菓子を食べさせてくれる彼女はいない


「あー…｣

乾いた声がポツンと置かれるようにする




右折しようと思いとウインカーを出す

パッと信号が変わって曲がろうとしたその視界の端っこにショコラブラウンの髪がうつる

アーヤに似てるなぁって思って少し目で追ってみる

隣には若い男性がいてそのアーヤに似た女の子を抱き抱えている


きっと彼女は酔い潰れたのだろう

…アーヤって酔い潰れたらどんなになるんだろう


いつもはしっかりしてるけど、もっと甘えん坊になるのだろうか

なんて想像(妄想？笑)したると女の子は少し動いた

サラッと落ちる髪の毛

髪に隠れてた顔が露になり思わず声が出る

「アーヤ…？｣

○→←Mr. jealousy

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す