《第1弾》ブーゲンビリア〜M.Tasuku ver〜

甘えたさん ページ24

彩side



今日は午前中だけのお仕事

つまりそこまで忙しくなかった

新たに考えたプランのプレゼンをして先日受け持った2組の御夫婦のブライダルを進めつつ

案件を片した。


いつもと変わらない1日

むしろ、会社から出なくていいし自由時間もたっぷりあってのんびりとしたluckydayと言ってもよかった


しかし、私はいつもの何倍も疲れていた


あと、少し…

あとこの案件だけ片付けたら私は家に帰って休める…


知らぬ間にズキズキと痛んでいた頭を抑えてしばしばする目をパソコンに向けた


「彩ちゃーん、これ任せてもい？｣


「え、あ！はい！｣

反射的に返事してからしまった…と思うがここは大人に顔は笑顔のまんま


…というかもう表情を動かすのすらだるい…




バサッと音を立てて置かれたファイルは5つもあって少なくとも2時間はかかるんだろうなぁ



あ〜…


なんか翼に会いたいなぁ


ボーとしてても手は動いて仕事は片付いていく。

もう習慣化されていて考えなくても出来るようになった


今度は頼まれる前に…

と申し訳なく思いつつもササッーと外に出る


胸いっぱいに吸い込んだ空気は都会のガスでそんなに気持ちよくはなかった


痛む頭とフラフラする足

完璧に熱だなぁなんて思いながらなんとか平常を保って家に帰る


ほんの少し前から同棲を始めた私たち

「同棲すると上手くいかなくなる｣なんて聞いてたから不安だったけれど、
今のところは順調

というか、元々生活のリズムがほとんど変わらなかったからお互いに気が抜けて楽なんだ


端がほつれてボロボロになっているキーケースのスナップを外すとジャラと鍵が音をたてる



意識が朦朧とする中、きっとこれだろうとまだピカピカと夕日を映す鍵を差し込んだ



いつもは意識しないけど、今日は扉さえ重く感じて


玄関にドサァと資料が散らばるのも関係なしにカバンを置くと靴も揃えぬままリビングにいった


実家とは違って玄関を開けてすぐにリビングがあるのはとても嬉しいことだった


お腹が空いていたけど、食べたくはない

力の入らない足がカクンと折れてそのままソファーに倒れ込んだ


私にかかっている重力を感じてそのまま沈んでいきそうだった

スーツが皺になるとか、目覚ましをかけなきゃとかそんなことを考える間もなく

私は深い深い眠りについた

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