69-カタコトの言葉 ページ3
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「サボー、キケン」
「さ、サボー?」
少しカタコトで、聞き取りにくかった言葉に私は聞き直すと、ドレッドヘアーの男は頷く
ソ「あ、ありがとう」
「ええっと…」
「ありがと」
ソ「え?あの、ここ、どこ?」
珍しく緊張しているのか、それとも男につられているのか、ソラの言葉もカタコトになる
「ここ、ここ」
「言葉、あまり通じてない…?」
ソ「そ、そうみたい」
もしかして、言語の違うワールドだったりするのか?……うーん、世界って広いな
ソ「まいったな、あの二人どこいったんだろ?…あのさ、俺たち友達とはぐれちゃったんだけど、どこかで見なかった?」
そう聞いてみるも、あまり聞き取れなかったのか、男は首を傾ける
ソラはもう一度、ゆっくり、はっきりと言い直す
すると男は「ともだち!」と楽しそうに言うと、ソラは通じたと思い、不安そうな表情から笑顔を見せた
ソ「そう!二人組で、やかましいのがドナ……」
「…?」
言いかけた言葉を途中で止めて、ソラは少し悲しい顔をすると、私はソラの顔を覗き込んで彼の名を呼ぶ
ソ「ちがう、今のなし」
___なし?
ソ「俺が捜してる友達は、リクとカイリっていうんだ」
ソラがドナルドとグーフィーではなくリクとカイリの名を上げると、嬉しいような、悲しいような……、何とも言えない複雑な感情が胸の奥から押し寄せて来る
どこかチクリと、心に小さくトゲが刺さったようだった
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