【短編】何時かの物語 -ep02- -BHFFXV- (ページ26)

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体温を測っても３７度弱で、ノクトは首を傾げる

「熱で馬鹿になったと思ったでしょ」
「いや、…まあ、間違ってねえ」

「失礼なハナシだなー」呑気にそう言ってベッドに寝転がるウェル。若干見えてしまった胸の谷間にノクトは全部は見えてない、大丈夫と言い聞かせ、平静を装う

「でも心配してくれてありがとう」
「…ん」

………どうやったら、彼女のように素直になれるのだろうか。知り合って半年位になるが今でもそれがわからない。生まれの違いだろうか

「それにしても、ノクトは素直じゃないよねー」
「…んだよ、いきなり」
「だって、昨日はどうせノクトが言いたい事言えなかったから起きた事態でしょ？イグニスさん、はっきり言うからなあ」

「だったら、何言えなかったと思う？」少し強気な気持ちで聞いてみると、返ってきたのは『親父』や『王の責務』についてだった

バケモンか。こいつ。俺の心見透かしてるんじゃねえか？

だから言ってやった「いいよな、ウェルは素直で」と。しかし彼女は切なげな表情で俯き、否定する

「私、こう見えても結構苦労してるんだよ？やっぱり従者として、やらなければならない事があるから。だからってルーナ様の事が嫌い、とかノクトの事が嫌いって訳じゃない。でも、やっぱ…、寂しいんだよね。我慢とか、色々しなくちゃいけないのも沢山あるし」

「例えば、任務を完遂しないとおやつが食べられないー、とかね」笑顔でそう話してくれるウェル。………でもごめんな、ウェル。俺はお前のその笑顔が空元気に笑ってる様にしか見えないんだ

……いつもの馬鹿さというか、素直さはどこ行ったんだよ…

「俺じゃ、頼りないか…？」
「ん？何の事？」
「一人が寂しいとか、そういうの」

「ノクトのくせに、はっきり言えんじゃん」…くせは余計だ。……でも言えた。初めてだ。こんな清々しい気持ち

「一応、次期王、だしな」
「確かに。それくらいはっきり言えた方が、国民もきっと安心する」

安心する……、そうか、安心させるためにもはっきり言った方がいいのか

同じ年のはずなのに、なんだか彼女から学ぶ事が多いと思う。なぜそう思うのかはわからない。でもそんな感じがするんだ

「さて、私も言ってスッキリしたし、元気出てきたなー。…あ、そうそう。イグニスさんなかなかご立腹だったよ。ノクトなら何言ってたのかは大体想像つくんじゃない？」
「いや、ほぼ分かる」
「流石だね」

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