【短編】何時かの物語 -ep02- -BHFFXV- (ページ18)

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何故こうなってしまったのか……

付け慣れない頭部の飾り。初めてのメイク。フリフリと動くフリルの付いた袖口と短いスカート…とエプロン……

そして人生で一度も言ったことがないこの台詞

「…お、おかえりなさい、ませ……、ご主人様……！」

……おわかりいただけただろうか。いや、大体予想はしていたのかもしれない

事の発端は先日のロングホームルーム

黒板に大きく書かれた『メイド喫茶』。何故こうなったのか

クラスメイトの皆が私にメイド服を着せたいという事からだった

私は断った。しかし周りの押しの強さにこの私が負けてしまったのだ

学園祭までの準備期間に入り、放課後に入っても続く作業に日課であるノクトの観察が出来ない事に多少イライラしていたものの、今まで関わらなかった者とのふれあいが出来て、それは楽しかった

楽しかったが……

衣装係が持ってきた丈の短い黒のワンピースとフリフリのエプロンに絶望した。もっと強めに言って断るべきだったと後悔したのだった

そんな事もあり、私がメイド服を着ることが確定してしまった時にあの二人に念にも念を押して「来るな」と言い捨てた

来るなと言ったからには来ないだろうな。あの二人の事だ。悪ノリでここへ進撃してくるかもしれない

警戒しながら入り口の方をジリジリと睨みつけていると、アミシティア兄妹がここへやって来た

「お、おかえりなさいませ、ご主人さ、ま！」
「わー！お姉ちゃん可愛い！！」
「おお！似合ってんじゃねーか！」

褒めてくれた……。照れるな

「せ、席にご案内します」
「おう、よろしく頼む」

まさか兄妹が来るとは。少し驚きもしたが、きっとイリスちゃんが入りたいと言ったのだろう

可愛い少女のためだ。私は許す

「お冷です」
「サンキュー」
「お姉ちゃん、本当にメイドさんみたいね！」

……まあ、メイド(従者)ですから

「ありがと、イリスちゃん！」
「はは、変な感覚だな。いつもなら、俺とお前は同じ、護衛する側なのにな」
「グラディオラスさん」

「わかってらー」グラディオラスはまだしも、私は帝国側(テネブラエ)の者であって、そちらの出身を明かしてはいいものの、主従関係である事は、私は勿論、王家、王族の者達が反感を買ってしまう事が考えられる為、決して明かしてはならぬのだ

少し食べていくと、次を回ると言って出ていった兄妹

暫くしてそろそろ昼休憩だという頃にやって来たあの二人

「おかえりなさ…」
「あ」
「え？」

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