【短編】何時かの物語 -ep02- -BHFFXV- (ページ15)

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# 嘘の日 (エイプリルフール企画) ページ15

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「おい、ノクト、お前寝癖ついてっぞ」
「え、マジで？」
「ウソだ、バーカ」

鍛練の休憩時間、グラディオが突然妙な嘘をつき、バカにされたと勘違いしたノクトはバカじゃねーし！と言い返す

今日は世界でも有名な『エイプリルフール』と呼ばれる、皆もご存じであろう、嘘をついてもよいとされる日である

ノクトはそれをわかってはいたのだが、それがまんまと引っ掛かり、本日同じ人物で先程の嘘も含めると三回も引っ掛かってしまった事になる

「てか、普通嘘をついていいのは一回じゃなかったっけ？」
「んなちいせえ嘘にガタガタ文句を言うとは、お前はいつまで経ってもガキだな」

バカの次はガキ扱いか！同じ10代にガキ扱いされたくねーわ！機嫌を損ねたノクトはとうとう訓練場を抜け出して行った

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城の廊下をぶらぶらといく宛も無いまま、焼き菓子ののったトレイを持った、イグニスが歩いて来る

前方にいるノクトに、イグニスは気づくと目の前の彼を呼び止める

「新しいマフィンを作ってみたんだが……」

鮮やかな橙の色に、綺麗な焼き色。色の具合にオレンジのマフィンを予想すると、どうやら当たりらしい

どれどれ、一口。マフィンを手に取り、パクリとカップの上付近を頬張る

モグモグと、どのようなお味か味わうものの、ノクトの顔色は真っ青になっていき、口の動きもそれに伴ってゆっくり遅くなっていく

このドロリとしたような甘さと青臭さ……。ノクトはこのマフィンの、本当の正解に気づく

「に、にんじん……」
「ああ、正解だ。最近はさらに野菜を食べなくなっていたからな」

「悪いが試させてもらった」そう言ったと同時に、メガネのブリッジを得意気にあげる

悪いと思うならやるな。という話だ

「クッソ！どいつもこいつも俺を騙しやがって！！」
「引っ掛かるノクトが悪い」

いくら嘘をついていいからといって今日は災難過ぎる。来年は必ず復讐してやると誓った、今月から高一になるノクティスなのであった

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