【短編】何時かの物語 -ep02- -BHFFXV- (ページ14)

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咲いては散り、咲いては散る事を繰り返す花火を前に、隣にいる彼女ウェルへノクトは目線を移す

花火によって色鮮やかに反射する白い肌と、整った顔立ちの美しさに、彼は思わず目を奪われ、息を呑む

「どうしたの？ノクト。私の顔に何か付いてる？」
「え？」

言われるまで気付かなかった、そんなにジッと見てしまっていた事にノクトは今更のように照れる

「別に」なんて誤魔化すと、次はプロンプトが呟く

「時間、止まっちゃえばいいのにね」

切なそうに言う彼に、ノクトとウェルは思わず間抜けな声を漏らすが、「なんとなく思った」とはにかんだ

「あ！時間と言ったら写真撮んなきゃ！」
「花火撮ってくれるの？」
「任せて！」

楽しそうに話す目の前の二人に、ノクトは再びふてくされる

最近、いや、三ヵ月ほど前からずっとこの調子だ。いつもの調子が狂ってしまうというか……
なんなのだろう。この、モヤモヤとしたような気持ちは。まるで胸に綿や油が詰まっているかのように、重く、気持ち悪い

心当たりはある。彼女が従者としてつくようになってからだ
これは一体、なんだろう。病気なのだろうか。それとも………

「ノクト、花火の写真、現像してくれるって！」
「マジで？じゃあ、ルーナにも送りたいから、二ま……」
「ルナフレーナ様にも送んの！？え、そ、それなら花火をバックにして三人で撮ろうよ！」

彼の突然の提案に二人は顔をひきつらせる。だがルーナ、ルーナ様のためと思うと、二人はあまり考える間もなく許可する

プロンプトは用意していたカメラのスタンドを設置し、その上に愛用のカメラを花火も三人とも見える調節していく

「ルーナ様、喜んでくれるかな？」
「大丈夫だろ。ていうか、ウェルが浴衣着てたら余計に喜ぶかもな」

自信満々に「だろ？」と聞くノクトにプロンプトは可笑しくて笑うが、ウェルは何故か俯いたまま、会話には入ってこない

「ウェル、どした？」
「…あ、ごめん！ちょっと考え事してた」
「これから撮るから、笑顔でね！」

「…う、うん！」

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後日の昼。ノクトから預かった手帳を持ってアンブラが帰還する

ルナフレーナはそれを手にし、新たなページを開き、楽しそうに笑う三人の写真を見つけ、まるで我が子を見守る母のように微笑んだ

『夏祭りに行ってきた。その時の花火。』

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