【短編】何時かの物語 -ep02- -BHFFXV- (ページ13)

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大きな太鼓の音が鳴る

いや、正確には太鼓に近い音だ

この音が聞こえたと同時に、神社を歩く者達は皆足を止め、待ちに待った花火が始まった事に花火の音と負けないくらい、大きな完成が上がる

「始まったね、花火」
「ああ、だな」
「たーまやー！」

あの後ノクトと合流したウェルとプロンプトは、出店で買ったものを手に、湖の底のように静かな神社の本殿の賽銭箱前で花火を観覧していた

ドンドンと空で唸る花火にウェルはビクリと肩を震わし、鳴る度に驚く

「おい、大丈夫か？」
「だ、大じょ、ぶ…」
「全然だいじょばないじゃん…」

子犬のように怯える彼女に二人は、肩が震える度に茶化す

これに彼女は案の定怒るわけだが、怒っては共に笑い合う

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兄の帰宅、これに妹のイリスは待ちわびていたかのように走って玄関へ向かう

「お兄ちゃん！もう花火始まってるよ！」
「わーってる、わーってる！だからそんなに引っ張んなよ」

グイグイと引っ張っているにも関わらず、あまりの押しの強さに多少苦笑するも、穏やかな心で小さな背中を見送る

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家でレシピの考案をしていたイグニスは空が淡く光ると、作業をしていた手を止め、リビングの窓越しの空を見上げる

「そういえば、今日だったな」

最近ノクトの事でも、城の事でも多忙の日々を送っていた彼は、ポツリ、そう呟くと満足そうに微笑み、再びキッチンへ行くと作業に戻る

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