節目(3月8日散髪の日) ページ5
嶋野から組に復帰するよう言い伝えられた真島はジャケットを新調し、数年ぶりに髪を切りに来ていた
小洒落た店内は店を切り盛りしているA以外に人はいない
貴方「真島さん!?」
真島「よぉAちゃん。髪切って欲しいんやけど今いけるか?」
貴方「は、はい!こちらへどうぞ」
急に来た真島に驚きながらも席へ案内するAは髪を切る事に驚いていた
Aが知り合ってからずっとポニーテールのスタイルを貫いていたからだ
仕事の時もプライベートも
真島「最初の一切り、俺にやらせてくれんか?」
貴方「…いいですよ」
真島のくくっていたゴムを解いて髪を丁寧にといてハサミを手渡す
普段は他の人には絶対に触らせない美容師の命であるハサミを渡したのは、伸ばし続けていた彼に何らかの人生の節目の為に切ると理解したからだ
貴方「形を整えられるくらいに切ってくださいね」
真島「あぁ。あっ、やっぱ自分の使うわ」
貴方「えっ?」
真島「このハサミはAちゃんの大事なもんやろ?俺なんかが触ってええもんやない。せやろ?」
貴方「確かにこの子達は私にとって大切ですけど…」
真島「せやから俺の自慢のヤツで切る」
そう言って真島が取り出したのは極道社会に入ってからずっと愛用している鬼炎、ドスだった
一般人とは無縁のドスにAは驚いたが、本当はその筋の者だと何故か直ぐに理解出来た
髪を2束に分けて何か覚悟を決めたような真剣な顔をして髪に刃を当てた
切れ味のいいドスはバッサリと2束とも切り、長かった髪は真島の手に残る
パラパラと指の隙間から落ちる髪を真島は暫く見つめたあと、少し狂気じみた笑顔でAに話しかける
真島「Aちゃん、無理言ってごめんな。後は任せたでぇ」
貴方「ッ…はい!」
ただぼーっと見つめていたAは慌てて指定された髪型に切り始めた
切っている間終始無言で真島はただ完成を待つ
貴方「…これでどうでしょうか?」
少しだけカーブを描くように整ったテクノカットで前髪は軽くスタイリング剤で整えた姿に真島は今の自分は過去に変わったのだと改めて思った
もう縛られない
檻から解放された真島の顔はもう夜の帝王の姿は無かった
真島「文句なしの最高やで」
貴方「気に入って頂けて良かったです。…大阪から出るんですよね」
真島「…そやな」
貴方「貴方と出会えて良かった。どうか、お元気で」
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レイナ(プロフ) - 雲雀さん» ありがとうございます!不定期ですがよろしくお願いしますッ (2021年2月25日 23時) (レス) id: 62f57f1f40 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - 短編連載おめでとうございます!これからの展開が楽しみです!! (2021年2月25日 16時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:★レイナ☆ | 作成日時:2021年2月23日 15時